文化 マイストーリーズ

国際交流員(CIR)スーキ・パチェコ・ジャン・ポールの異文化交流コーナー

◎Hello Unnan(ハローうんなん)!

■第44話「神々のプロレス」
初めて島根県に来たときに紹介されたのは「出雲神楽」です。
神々をもてなして崇める演舞ですが、鮮やかに舞う姿といい、神楽笛の神秘的な旋律といい、いつも魅了されます。
観客の子どもがステージの前に近づいたり、出演者に触ってみたりする姿をよく見ました。
そして僕も、6月に初めて掛け声を入れようと思いました。
島根大学の留学生への通訳業務で中野神楽の演目を説明しつつ、鑑賞させていただきました。留学生に「ジーっと静かに見なくてもいいのでどうぞ声を出してください」と説明しました。その時、僕自身「何回も見る機会があったのに、どうして今までやってこなかったのか」と思いました。
そこで、「ヤマタノオロチ退治」に掛け声を入れてみました。ヤマタノオロチの登場に合わせて叫んだら、なんだか夢中になりました。スサノオとの対決でつい「Get him(英:ぶっ飛ばしてやれ)」と。今までで最も楽しい神楽になりました。
「出雲神楽」は古くから島根県の尊い神話を伝える芸術です。
大事な文化として紹介された僕は、あの夜までは少し大人しく鑑賞していました。しかし、掛け声を入れてステージに触れてみたら、案外「近代的」で新鮮に楽しめました。まるで、「神々のプロレス試合」みたいだと思いました。

「このコラムを読んでいらっしゃる中野神楽保存会の方々へ、素敵な思い出をありがとうございました。」