- 発行日 :
- 自治体名 : 島根県雲南市
- 広報紙名 : 市報うんなん 2025年12月号
■骨盤臓器脱に悩んでいませんか?
産婦人科 診療科部長 今村加代(いまむらかよ)
◯骨盤臓器脱とは?
女性の骨盤内にある子宮や膀胱、直腸などが脱出することです。骨盤臓器を支える骨盤底筋と呼ばれる筋肉やその周辺にある靭帯が緩むことが原因で、出産や加齢によるもの、重い荷物を持つ職業に就いている方や慢性的な便秘のある方などに生じやすいと言われています。50歳以上の女性の40%程度が罹患するとされる比較的頻度の高い病気です。
◯症状は?
自覚症状として、入浴中などにピンポン玉のような丸い腫瘤を外陰部に感じることが多いようです。脱出が大きくなると下着と擦れて出血したり、排尿困難、便秘の原因となることがあります。排尿困難となり残尿が増加すると尿路感染症や腎不全を引き起こし命に関わる場合もあります。
◯治療法は?
《軽症の場合には、保存的治療で経過をみます。》
骨盤底筋体操:腹筋に力が入らないようにしながら腟や肛門を締める体操です。脱出の進行を予防したり尿失禁の改善が期待できます。
腟内装具(ペッサリー):シリコン製のリングを腟内に挿入し臓器が下がらないようにする方法です。簡便で有効性も高い方法ですが、同じものを長期間体内に入れたままにしておくと炎症を引き起こしたり出血の原因となるため、定期的な交換が必要です。
《重症の場合や、保存的治療で効果がない場合には手術を行います。》
腟式手術:お腹を切らずに腟から子宮を摘出し腟壁を縫縮する方法で、従来から行われている手術法です。他に、子宮を摘出せず、メッシュを使用して脱出した臓器をハンモックのように支えて治療する方法があります。
腹腔鏡手術・ロボット手術(当院では導入していません):仙骨腟固定術といって、子宮摘出後の腟断端を吊り上げて脊椎の下にある仙骨に固定する手術で、腹部に数ヵ所小さな穴をあけて行います。
どの手術が適するかは脱出の程度や症状によって決まります。
術後に腟断端が再度脱出してくることもあり、日常生活で腹圧をかけないようにするなど気を付けることが重要です。
治療によって、股に挟まった感じが消失した嬉しさから「もっと早く受診すればよかった」という声をよく聞きます。
骨盤臓器脱で長期間悩んだ末に症状が進行して受診する方や、恥ずかしくて家族に話せず、介護が必要になって周囲の方が初めて気付くこともあります。
悩んでいる方はぜひ早めに相談に来てください。
◎女性の骨盤内臓器とペッサリー挿入イメージ
※詳細は広報紙10ページをご覧ください
