くらし 〈特集〉まいにちを彩る いいなんパプリカ(1)
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- 自治体名 : 島根県飯南町
- 広報紙名 : 広報いーなん 2025年8月号
約20年前から栽培を推進している「パプリカ」。町内の生産量は年間40トンにまで増加し、国内有数の産地となりつつあります。
栽培支援とブランド化が進む、パプリカ生産の様子を紹介します。
◆新たな特産品へ
約20年前、特産のメロンの生産量が低迷し、新たな生産奨励品目として目を付けたのが「パプリカ」。7月〜10月に収穫期を迎え、食卓を鮮やかに彩ります。
パプリカは国内で流通する9割以上が外国産で、10月ごろから輸入が本格化。夏場は供給量が少ないため、国内産の需要が高まり、市場では高単価で取引されています。
町は令和5年から「いいなんパプリカ」のロゴマークを作成し、専用サイトでのPRを開始。ロゴマークをあしらった個包装パッケージに変更後、売上も一段と増加し、今年度の出荷見込量は48トン。販売額約4800万円を見込んでいます。
◆パプリカで新規就農
リースハウス事業など町の支援も活用し、生産農家は年々増加。今年度は11戸となり、うち5戸はIターンして農業に挑戦する新規就農者です。
町は、新規就農のための経営資金支援を行うほか、県東部農林水産振興センター、JAと連携した巡回指導を実施。新規就農者が安心して生産できる体制を整えています。
◆町が実施する就農支援策
・リースハウス団地整備事業
町がハウスを整備し、使用者はハウス使用料を負担。初期設備投資を軽減
・農業後継者育成支援事業補助金
機械導入の1/2補助、施設整備の2/3補助
・経営開始資金(補助金)
農業経営開始から最大3年間、年間150万円を交付
※このほか国、県の補助事業もあります。
◆Interview
新規就農者 田渕裕希さん(上来島)
◇パプリカで自営就農
「実も大きくて肉厚。良い出来だと思います」と笑顔でハウスを案内してくれたのは田渕裕希さん。今年度からパプリカを中心とした自営就農を開始しました。
和歌山県で働いていた田渕さんは、自営就農を目標に移住先を検討。就農支援制度が充実している飯南町が目に留まり、移住を決心しました。
移住して2年間は農業研修制度により、研修先農家で農業の知識やパプリカ栽培の技術を学んできました。研修を終え、念願の自営就農を開始。「自分でスケジュールを決め、全部一人で作業しないといけない。研修とは違い不安もありましたが、色づいていくパプリカを見て安心しています」と田渕さん。
町のリースハウス事業により設置した4棟のハウスには、所狭しとパプリカが植えられています。
「果実が日焼けしないよう遮光シートで日差しを調整するなど、常に目が離せないので大変。だからこそ、箱いっぱいに収穫したパプリカを見ると嬉しい」と話す田渕さん。今年の出荷量は約8トンを見込んでおり、夏場は収穫の最盛期を迎えます。
◇飯南町を全国的な産地に
たわわに実るパプリカは、片手に収まらないほどの大きさ。昼夜の寒暖差で実はゆっくりと色づくため、他産地よりも大きく、肉厚に育ててから収穫しています。高品質の「いいなんパプリカ」の評判は高く、田渕さんも複数の出荷先を予定しています。
田渕さんは、パプリカで自営就農している先輩たちと情報交換し、切磋琢磨しながら生産に取り組んでいます。「パプリカの産地といえば飯南町と言えるほど、町全体の生産量を増やしていきたい。一緒に頑張る仲間が増えると嬉しい」と田渕さんも産地化に向けて意気込みます。