- 発行日 :
- 自治体名 : 岡山県奈義町
- 広報紙名 : 広報NAGI 2025年6月号(823号)
■高齢者の健康づくりを考える
先日、「かんたん無料で医者いらず病気の9割は歩くだけで治る!」という本と出会いました。場所は、本屋でなくて薬局。団塊の世代が全員、後期高齢者に仲間入りし、医療や介護の費用増加が心配になっています。薬をもらいにいってこの本が置いてあり、興味を惹かれました。
高知県の町で、寝たきりの高齢者を激減させた疋田善平(ひきたよしひら)医師を思い出し、早速手に取ってみました。
この本の紹介に入る前に、疋田先生を紹介します。先生は高知県の小さな町で働かれ、高齢者の健康づくりを支えられました。町は、農業中心の山間部と漁労中心の市街地に分かれており、それぞれの寝たきり率を調べると圧倒的に農村は少なく、入院患者も市街地の6分の1で、90歳でも元気な老人は市街地の3倍も多く、圧倒的に農村部の方が元気な高齢者が多かった。それは高齢になっても畑仕事などで常に筋肉に負荷をかけることが老化を遅らせ、死ぬまで元気で過ごす人が多い理由だと言われています。
人間には、運動するための細胞と生命を維持するための細胞があり、生命維持の細胞は死ぬまで働くが、運動するための細胞は使わないとどんどん委縮していく。それを防ぐには、常に運動能力のある細胞を活性化させ、生命を維持する細胞と同時に衰えさせていくようにすればよいということです。
高齢者が骨折して、1週間動かないと筋力が10~15%低下し、2か月も寝つけば寝たきりになると言われますが、長い間寝たきりにならず、仮に寝たきりになっても1か月程度で逝きたいと思っている人が多いと聞きます。
そこで先生は「死ぬまで働きなさい(死ぬまで筋肉を動かしなさい)」と言う呼びかけを行われ、結果、寝たきりの高齢者は減少し、保険料も下げることができたということです。
102歳当時の疋田先生は、2kmの距離を20分かけてゆっくり走っていたそうです。走るというより歩くスピードに近く、住民からは「あれは歩いている」と言われたそうですが、自分の健康のためにやるなら自分の体と相談して自分の基準でと実践されました。我々も自分の状態に合わせて筋肉を動かし、自分に合った運動に取り組みましょう。
次回は冒頭の、長尾和宏(ながおかずひろ)医学博士の著書「かんたん無料で医者いらず 病気の9割は歩くだけで治る!」を紹介します。