- 発行日 :
- 自治体名 : 広島県尾道市
- 広報紙名 : 広報おのみち 2025年5月号
手話が言語であることの認識に基づき、手話言語への理解の促進及び手話言語の普及並びに地域において手話言語を使用しやすい環境を構築し、誰もが安心して暮らせる地域共生社会の実現を目指し、総合的かつ計画的な施策の推進について必要な事項を定めた「尾道市手話言語条例」を制定しました。
「尾道市手話言語条例」が成立し、4月1日から施行となりました。広島県の市町では7番目です。私たちにとって念願の条例です。市民の皆さんが手話への関心と理解を深める大きなきっかけになると期待しています。
日本語や英語など、声に出してしゃべる音声言語は、耳の聞こえない私たちは聞くことができません。人がしゃべっていることがわからない、テレビを見ていてもわからない。ぱくぱく動く口元を見てもわかりません。生活する中で、苦労してきました。
私は尾道ろう学校に通っていたとき、学校帰りに、ろう学校の同級生と手話で話しながら本通りを歩いていると、前から来る人たちが私たちを避けました。無言で手指を大きく動かしながら歩く私たちが気味悪かったのでしょう。時代が移り、手話はテレビやいろいろな場面で目にする機会が増え、手話に親近感を持つ人が増えました。
手話は、手指の動き・表情・体の向きなどを使って意思を伝えあう、目で見ることのできる言語です。私たちにとって一番大切なものなのです。耳の聞こえる人が大多数の社会の中で、耳の聞こえない私たちが独自に作り上げてきた「言語」なのです。
しかし残念なことに、手話は日本語の亜流にすぎないと多くの人に捉えられています。条例成立をきっかけに、手話は日本語や英語などと同等の「言語」なのだという理解が浸透することを願っています。
また、この条例は、多様な人が暮らす社会において、すべての人がお互いを尊重しあう「共生社会」をめざしています。私たちも共に歩んでいきたいと思います。
和泉正人さん(尾道ろうあ協会会長)
■手話言語
手話言語は、音声言語とは異なり、独自の文法体系をもった視覚言語です。手話は国によって、さらには「方言」のように国内でも表現方法が異なります。そこからも、人々の文化と密接に関係し発展してきた言語であるということが分かります。教育現場において、使用を禁止され、社会でも軽く見られた時代もあった手話ですが、ろう者は手話言語を大切に育み、守り、受け継いできたのです。
■手話でどうやって表現するのかな?やってみましょう。
※由来は諸説あります。
▽こんにちは
(1)顔を文字盤と見立て時計で長針と短針が12時を指すイメージの動作。
(2)あいさつ(人と人が会ってお辞儀するイメージ)を表す動作。
▽ありがとう
(1)お相撲さんが勝ったときに賞金を受け取るときの動作に由来
問合せ:社会福祉課
【電話】0848-38-9124