- 発行日 :
- 自治体名 : 山口県下関市
- 広報紙名 : 市報しものせき 令和7年5月号
■地域共創人財育成研修チーム
地域のこと、他人ごとじゃない
地域課題に本気で向き合う5カ月間
「共創」で育まれる、新しい地域の担い手たち
●地域のリアルが教材 当事者意識の人財育成
▽いま、なぜ「共創」か
人口減少や少子高齢化、空き家の増加、若者の地元離れ。こうした地域課題に、もはや一つの組織だけで立ち向かうことは難しい時代です。民間企業や行政、そして市民が、それぞれに持つ資源や知見を持ち寄り、連携して課題解決に取り組む「共創」の姿勢が、強く求められています。
山口フィナンシャルグループ(YMFG)では、地域の持続可能性を高めるには「共創の担い手」を育てることが重要と考え、令和5年度から地域共創人財育成研修を開催。地域課題の現場を学びながら、異業種・異分野の人々と共に解決策を考える実践型の学びの場としています。
▽官民連携で学びと挑戦
2回目となる今回。昨年8月〜1月の約5カ月の研修に、YMFG、日立グループ、JR西日本、市役所から計26人が参加。地域の課題解決に関心のある多様なバックグラウンドを持つ受講者で構成され、5つのグループに分かれて進められました。
研修では、実際の地域課題をテーマにして課題の本質を掘り下げながら解決策を検討。現地視察やグループワーク、人脈づくりを通じて、参加者一人ひとりが自らの強みや特性を再認識し、新たな気付きを得る場となりました。「自分では思い付かない角度から提案してくれる異業種の仲間との交流が、新しい発見につながりました」とYMFGの西林紗代さん。異なる背景を持つ受講者との交流が自分の思考を広げるきっかけとなったようです。
日立製作所の大道健太さんは、「一組織、一個人で地域を変えることは難しくても、組織や人が集まることで地域を変革していけるのではと気付かされた」と振り返ります。
▽地域の未来をカタチに
研修の最後には、各グループが自分たちの考えた地域課題解決プランを発表。行政サービスなども受けられる「次世代銀行アプリ」の開発(Aチーム)、空き公営住宅を生徒数が減少している高校の寮にして地元住民が運営(Cチーム)、城下町・長府をまるごとテーマパーク化(Eチーム)など、さまざまな地域課題解決プランが出される中、大賞に選ばれたのは、Dチームの「しもまちビレッジ」。市内の廃校を活用して、中小企業向けのシェア型社員寮をつくるという提案で、中小企業の社員定着、人材育成にかかる負担軽減、人脈形成、住居費負担の軽減、廃校の有効活用などの多面的な利点があることを評価されました。
研修で生まれた提案は、今後、実装に向けた検討がなされ、新たな事業創出につながる可能性も。地域の未来を担う力が育まれる、そんな熱量を感じる取り組みです。
・大賞「しもまちビレッジ」(Dチーム)
「課題の背景にある要因を意識するようになった」とリーダーの松永浩志さん。
・グループワーク
「日立製作所から参加している方がシステム構築に明るく、その面からの提案を頂き、大きな学びがありました」とYMFGの西林さん。
・フィールドワーク
実際の地域課題を研修課題とすることで当事者意識を持ち、企画・提案・実行できる人財育成が期待されている。
・9月には合宿も開催
業種の枠を超えて交流。人脈づくりが行われた。