- 発行日 :
- 自治体名 : 徳島県阿波市
- 広報紙名 : 広報あわ 2025年2月号
吉野町西条大久保医院 西庄文(にししょうあや)先生
日本では女性の約10人に1人が乳がんを発症すると言われています。もちろん、女性のがんのなかでは最も多いがんです。特に40歳以上の女性で発症率が高く、40代後半と60代前半にピークがありますが、実際80代や90代の乳がん患者さんも少なくありません。
「がん」と聞くと、「怖い」「治らない」というイメージを持たれる方もいますが、実際に診療をしていると、適切に治療できれば8割から9割の方が10年以上再発なく生きられる、簡単にいえば治ってしまうがんではないかと思っています。
では、どんな状態であればその8割から9割生きられるグループに入れるのでしょうか?
■ステージ0
がん細胞が乳管内(母乳を運ぶ管)にとどまっており、原則、他の組織には広がっていない状態。
■ステージI(早期の浸潤がん)
しこりが2cm以下で、脇の下のリンパ節への転移がない状態。
■ステージII(局所進行がん)
脇の下のリンパ節に転移がある、もしくはしこりが2cm以上5cm未満の状態。
実は診療をしていてよく診るのは、このステージIIまでの方です。ここまでのがんであれば、適切な治療をすれば、再発なしで10年以上生きている(現実的には治っていると考える)方が8割をこえます。
※乳がんのタイプによって割合が違う場合あり。
では、どうすればできるだけ早く乳がんを見つけられるのか。やはり検診と自己触診がとても大事になってきます。検診としてはマンモグラフィーとエコーがあり、それぞれ長所短所があります。
■マンモグラフィー
長所:乳房全体が短時間で検査できる、石灰化はわかりやすい(石灰化が初期の乳がんのサインのことがあるため、石灰化を見つけるのは大事です)
短所:検査に痛みをともなう、日本人の乳腺は白くうつることが多く、しこりがわかりにくいことがある。
■超音波検査(エコー)
長所:痛みもなく、日本人の乳房でもしこりを見つけやすい。
短所:石灰化は見つけにくい、検診補助は今のところなし。
■自己触診
月に1回の自己触診。
もし、乳房に気になることがある、でも痛みがあるマンモグラフィーをとるのが嫌、などであればエコー検査だけでも一度受けてみませんか?
このコーナーは阿波市医師会・阿波歯科医師会・板野歯科医師会のご好意により提供いただいた原稿を掲載しています。