文化 ウミガメNews Letter No.42

■ハマヒルガオの咲く頃
季節毎の変化が少ないように見える砂浜の環境ですが、よく観察していると四季折々の姿が見られます。ゴールデンウィークの頃から大浜海岸では、ハマヒルガオ、ハマボウフウなどの海浜植物の花が咲き始め、ハマゴウの新芽が芽吹いています。その根元には、スナガニの足跡や掘られた巣穴が目立ち始めました。この頃になると日本の各地からウミガメの産卵報告が寄せられ始め、大浜海岸でもアカウミガメの上陸産卵が気になる頃です。今年もウミガメの産卵シーズンが始まります。手始めに、ウミガメ保護対策協議会で今年の対策方針について協議させて頂いています。この協議会は美波町ウミガメ保護条例に基づいて、その年に行う保護対策について話し合います。これまでと同様に大浜海岸でウミガメが上陸、産卵することが多い5月20日から8月20日を保護対策期間として、その期間中は夜間の大浜海岸への立ち入り禁止(午後7時30分から翌朝の4時まで)、大浜海岸に面している道路の夜間通行止め(午後8時から翌朝の4時まで)、加えて、大浜海岸周辺の灯りの消灯や遮光にご協力を頂いています。これらの対策は、暗く静かな砂浜を産卵場所として選ぶウミガメの生態に沿ったものです。しかし、最も多い時期には300回を超える上陸が記録されていた大浜海岸では、昨年は6回の上陸と4回の産卵を確認しましたが、長期的に見てその数は減少の一途にあります。加えて、他の産卵地での上陸産卵回数の推移とも異なる傾向を示しています。保護対策を執っているのになぜ「徳島一人負け」と呼ばれる減少傾向が続くのか。引き続き、ウミガメの上陸産卵を不用意に妨げない様に見守りながら、その原因を探る調査を続けなければなりません。季節毎に様々な姿を見せてくれる大浜海岸ですが、その主役は言うまでもなくアカウミガメです。これからも「ウミガメの聖地」として、アカウミガメが産卵にやってくる大浜海岸を次の世代に残すため、皆様のご理解とご協力をよろしくお願い致します。
館長:平手康市

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〒779-2304徳島県海部郡美波町日和佐浦369うみがめ博物館カレッタ「質問係」

■Question
海で生活するウミガメなのにどうして砂浜に上陸して産卵するの?

■Answer
カエルなど両生類の卵とは違い、は虫類のウミガメの卵は水中ではふ化できないので海から出て産卵します。そして砂浜は、上陸しやすい、卵を隠しやすい、ふ化に必要な温度になるなど、ウミガメの卵がふ化できる条件がそろっているので砂浜で産卵すると考えられています。