文化 東山魁夷せとうち美術館 開館20周年 景観と建築の調和が生み出す 東山魁夷の世界
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- 自治体名 : 香川県
- 広報紙名 : みんなの県政 THE かがわ 令和7年6月号
昭和を代表する日本画家・東山魁夷の版画作品を中心に収蔵・展示している「東山魁夷せとうち美術館」。2005年4月に、魁夷の祖父の出身地である櫃石島が眺望できる坂出市沙弥島に開館し、魁夷を愛するファンをはじめ、初めて作品に触れる人たちも魅了しています。2025年に開館20周年を迎えるにあたり、照明のLED化やアプローチなどの改修工事を実施。より快適に鑑賞できる環境に生まれ変わりました。
東山魁夷せとうち美術館は、作品だけでなく周囲の景観と調和した建物のシンプルな美しさも魅力の一つ。設計者の谷口吉生氏は、ニューヨーク近代美術館をはじめ、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館などを手掛けた美術館建築の名手で、魁夷と交流があり、長野県立美術館東山魁夷館の建築にも携わっています。東山魁夷せとうち美術館では、魁夷の代表作「道」を思わせる約70メートルの白いアプローチから始まり、作品鑑賞後に初めて現れる瀬戸内海の絶景まで、東山魁夷ゆかりの景観を随所に味わうことができます。
美術館を訪れた人が、まず作品鑑賞に集中できるよう、美術館に向かうアプローチ周辺には、海の景観を遮るようにモチノキやオリーブなど緑豊かな木々が植えられています。20年の時を経て、谷口氏の構想通りに木々は大きく茂り、美しい瀬戸内海とともに、美術館を包み込んでいます。
■ライティングが自由自在に
館内の照明をLEDに変更し、展示スペースには壁面全体を照らす「ウォールウォッシャーダウンライト」と一点を照らす「スポットライト」を設置。LED化により、色調や明度の細かな調整が可能となり、作品の魅力を引き立てる演出が可能になりました。(写真は春の特別展「気配の力―拡大する日本画岡村桂三郎|新恵美佐子」開催時の様子)
※写真は広報紙3ページをご覧ください。
■景観と調和した癒やしの空間
美術館建築は展示作品を主役とした「額縁」と考える谷口氏の建築物は、無駄なものは取り除いたシンプルな設計。周りの環境に溶け込むように、外壁は「バーモントグリーン」と呼ばれるアメリカ産スレートを使用し、館内の受付やミュージアムショップも目立たないように配置するなど、細部までデザインされています。瀬戸内海や周囲の景観も一つの作品として捉え、建物、作品、景観を楽しめる癒やしの空間になっています。
■瀬戸内海を一望できるカフェ
カフェでは、穏やかな瀬戸内海と瀬戸大橋を望みながら、くつろぐことができます。カフェのみの利用も可能。開館20周年を記念した新商品、和三盆「緑景」もお土産として販売しています。
◆開館20周年記念展覧会
◯第2期テーマ作品展 7月17日(木)~8月31日(日)
・風景画家・東山魁夷の道
美術館が収蔵する魁夷の日本画作品、「月宵(げっしょう)」「夕凪(ゆうなぎ)(朝涼(ちょうりょう))」「緑溪(りょっけい)」「松庭(しょうてい)」「朝(あさ)の内海(うちうみ)」「ウプサラ風景」「エルシノアの街」「月光(げっこう)」の全8点を一挙公開。代表作の版画作品と合わせて制作年順に展示し、風景画家として一筋の道を歩んだ魁夷の画業をたどる。
◯秋の特別展 9月6日(土)~11月3日(月・祝)
瀬戸内国際芸術祭2025県内連携事業
・東山魁夷の「窓」
「窓」をキーワードに、ドイツ、オーストリアや北欧、京都など、国内外の各地を描いた貴重な日本画作品やスケッチ、版画などを取り合わせ、魁夷の風景画の魅力を探る。
◆限定オリジナルグッズ
館内では、開館20周年を記念したオリジナルグッズを販売しています。保多織(ぼたおり)の手ぬぐいやコースターなどは、ここでしか手に入らない限定品です。
香川県立東山魁夷せとうち美術館
【住所】〒762-0066 香川県坂出市沙弥島字南通224-13
【電話】0877-44-1333