くらし Special Talk これからの「防災」(1)

災害から身を守り被害を軽減するために、何をすべきか。国連防災担当トップを務めた水鳥真美氏にお話を伺いました。

香川県知事:池田豊人
◎包括的かつスピーディーな対応を目指す
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前国連事務総長特別代表(防災担当) 東北大学特任教授(客員):水鳥真美
◎防災対策のモデル県として期待

◎水鳥真美氏プロフィール
1983年一橋大学法学部卒業、外務省に入省。総合外交政策局国連政策課長、同局安全保障政策課長、在英公使、大臣官房会計課長などを歴任後に退職。英セインズベリー日本藝術研究所所長などを経て、2018年3月に日本人女性初の国連事務総長特別代表に任命され、兼ねて国連防災機関の長に就任。2025年6月より東北大学特任教授(客員)兼経営戦略アドバイザーに就任。

■日本人女性初の国連事務総長特別代表
知事:水鳥さんは外務省のご出身で、2018年には日本人女性初の国連事務総長特別代表に就任し、国連防災機関の代表を務められました。国連で働くことになった経緯をお聞かせください。
水鳥:2010年に外務省を退職してから、夫の住むイギリスで生活していました。2017年に国連のグテーレス事務総長が就任した際に外務省から推薦していただきました。当時の国連は幹部社員の男女比を同率にすることを目標に掲げていて、推薦者の中で女性が私一人だったことや、防災先進国の日本出身という面を期待して任命されたと思います。国連の仕事は中立性に対する忠誠が求められ、多くの女性職員が治安情勢の厳しい勤務地で活躍しているのがとても印象的でした。

■大切なのは「災害の予防」
知事:これまで受けて来られたインタビューの中で、よく「災害の予防」という言葉を使われています。我々は、対策という言葉をよく使いますが、災害の予防に対する考え方をお聞かせください。
水鳥:2015年の国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組」の中で、災害が起こる前に想定されるリスクを少しでも減らしていこうというのが「災害の予防」です。災害対策を効果的にするには、災害前の備えが大切。東日本大震災での「釜石の奇跡」は、日頃の災害教育の成果であり、平時にできる災害の予防にこそエネルギーや資源を投入しなければならないと思います。