- 発行日 :
- 自治体名 : 香川県
- 広報紙名 : みんなの県政 THE かがわ 令和7年9月号
■垣根を超えて連携を
知事:日本の災害復旧の速さは国際的に評価されていますが、避難所の問題も含め、まだまだ改善の余地があります。日本の災害対策について感じるところはありますか。
水鳥:近年発生している気候変動型の災害は、被害想定をはるかに超えているので対策の見直しが必要です。あとは、復興のあり方。仙台防災枠組でも「BuildBackBetter(より良い復興)」が一つの目標になっています。南海トラフ地震を考えた時、住み慣れた場所とはいえ、災害リスクの高い地域に住み続けていいのか。事前の対応もさることながら、復旧復興における最善策を検討する必要があると思います。
知事:アメリカやヨーロッパの防災に対する意識はいかがですか。
水鳥:欧米は災害が少ないので、防災への意識は非常に低かったですが、最近は気候変動型の災害が増えてきたことで、インフラの老朽化が大きな問題になり、少しずつ意識が高まっています。特にヨーロッパで山火事が増えており、昔はイタリアやギリシャがほとんどでしたが、最近は北欧でも発生しています。EUは各国が資金を出し合って技術や機材を共有し、どこかで山火事が発生した時にいつでも使えるように、低予算でより効率的な対策をしています。防災は県政においても重要な課題ですので、部署の垣根を超えた横断的な取り組みや、四国4県での災害対応のガバナンス(統治・統制)の形成が重要になってくると思います。
知事:県としても防災対策を見直し、関係機関との連携を密にして、スピーディーに対応できる体制を構築していきたいと思います。
■私たちにできること
知事:香川県は他県と比べて災害が少ないこともあり、県民の防災に対する意識向上が大きな課題です。災害から身を守り、被害を軽減するために、県や市町などの自治体や県民が意識すべきこと、備えておくべきことを教えてください。
水鳥:香川県はモデル的な防災対策ができる、非常に良い条件がそろっています。日本で一番小さい県で災害も少ないので、隅々まで目が行き届いた予防に注力できると思います。インフラの整備や防災教育などにあたっては、地域での対策を女性や高齢者、障がいのある人といった災害弱者の視点をくみ上げながら進めてほしいですね。
■こんぴら歌舞伎の舞台を堪能
知事:香川県の印象についてお聞きしたいのですが、これまで旅行や仕事で来県されたことはありますか。
水鳥:コロナの収束後に夫と四国を周りました。その時に金刀比羅宮の奥社まで行き、金丸座も見学しました。今年の4月には歌舞伎公演にも伺い、規模の小さい小屋での臨場感のある舞台を堪能しました。香川県は文化や自然、おいしい食べ物がいっぱいあって、素晴らしい県だと思いました。
知事:金丸座は東京や大阪の舞台よりもコンパクトなので、演者との距離がすごく近くてお客さまからも好評です。香川には他にも素晴らしい観光地がたくさんありますので、来県された際はぜひ行ってみてください。今回は、国連の防災担当のトップとして活躍された水鳥さんの貴重なお話を聞くことができました。いつ起こるか分からない災害への対策は、香川県にとっても喫緊の課題です。水鳥さんのお話を参考にさせていただきながら、今後の県の防災・減災対策に取り組んでいきたいと思います。本日はありがとうございました。