くらし 丸亀の農業 今とこれから(2)

■他業種から農業にチャレンジする新規就農者たち
【アスパラガス】
飯山町 矢野 秀典さん[就農3年目]
丸亀市生まれ。一度思い立ったらとことん貫き通すタイプ。「地域をより良くしたい」という思いで、「食」「住」に関わる事業を多角的に経営している。

◆雇用を生む大規模経営を目指し農業で地域を元気にしたい!
Q.1 農業を始めようと思ったきっかけは?
目まぐるしい時代の変化の中でも、「おいしいものを食べる喜び」は今後も変わらないはず。それを支えるのは1次産業だと考え、地域に雇用を生むことも視野に入れ、当初から大規模経営を前提とした就農計画を立てました。アスパラガスを選んだのは、土地や重機を持っていなかった私でも、バランスの取れた経営を目指せると感じたからです。

Q.2 農業を通して感じたこと、未来への思い
収穫できるようになるまでの2年間、気候にも大きく左右され、試行錯誤の毎日でした。それでも販路確立など、早くから一定の手応えを感じられたのは、周囲の人たちのサポートのおかげです。最終的な目標は「農福連携」で、車いすでも農業ができる環境を整え、農業をやりたい人たちと一緒に地域を盛り上げていくこと。まずは栽培規模を拡大しながら、私自身が経験を重ねていきたいです。

Q.3 あなたが作るアスパラガスの魅力を教えてください
有機農法にこだわり、水も100年続く井戸水を使っています。私のモットーは「誰かの笑顔を今日も〝おいしい〞で届けること」。おいしいものをつくって喜ばれる、これほどシンプルでうれしいことはありません。

【ハーブ】
中津町 陶國(すえくに) 愛さん[就農2年目]
丸亀市生まれ。アロマセラピストとして10年以上の経験があり、大阪でサロンを経営。ハーブ栽培と施術を両立させながら、農業を通じたハーブの魅力発信を目指している。

◆施術に使うハーブのことをもっと深く学びたい!
Q.1 農業を始めようと思ったきっかけは?
アロマセラピーは「芳香療法」とも呼ばれ、様々なハーブを精油やクラフト素材として活用します。アロマセラピストとして、生のハーブを育てるところから研究してみたくて、祖父や父が丹精していた畑の一角で栽培を始めました。農業は子どもの頃から身近でしたが、自分で育てるのは初めて。ほぼ独学での挑戦です。

Q.2 農業を通して感じたこと、未来への思い
化学肥料や農薬は使わず、畑の生き物たちと共生しながら、抜いた草を堆肥にするなど「再生」を意識した農業を実践中。畑に出ると、心も体も元気になれる気がします。サロンでも鉢植えを育てていましたが、土や肥料が変わると風味も変わることを実感しました。採れたハーブを商品として活用するだけでなく、同じ思いを持つセラピストとチームを組み、研究会や講座、収穫体験などを通じて、ハーブの魅力を広く発信していきたいです。

Q.3 あなたが作るハーブの魅力を教えてください
収穫後は、光や湿度の管理、洗浄方法を工夫し、できるだけ本来の色や形を保ったまま加工しています。ハーブティーにすると香りが豊かで、「今までで一番おいしい」というお声もいただいています。

■自分らしく働く就農のカタチ
就農というと「専業農家」をイメージしがちですが、農業も働き方が多様化しています。就農の際は、自分が目指す農業の在り方をじっくり考えてみましょう。

▽自分が事業主に 新規就農
経営者として新しいビジネスを起こす形での就農。いわゆる専業農家で、「認定新規就農者」もこれに該当し、支援も充実しています。

▽農家のスタッフに 雇用就農
大規模農家や農業系の企業に雇われて働く形での就農。ここで修業をしっかり積んでから独立を目指す道もあります。

▽事業を受け継ぐ 農業後継者
家族や親族関係を問わず、誰かの事業を受け継ぐ形での就農。未経験でも「新規就農」とは区別され、農業後継者を支援する補助金制度もあります。

▽フレキシブルな 兼業農家
別の仕事や事業と両立する形での就農。兼業・小規模農家向けの支援が令和6年度から新たに始まり、参入しやすくなりました。

■生産者と消費者が手を取り合って「地産地消」のサイクルをつくろう
「おいしくて新鮮な農作物を、地元の人たちに食べてもらいたい」と畑に立つ生産者。日々の食卓に「おいしくて安心できる食材を選びたい」と願う消費者。両者の思いをつなぐキーワードが「地産地消」です。
支援体制の充実や働き方の多様化により「自分らしく自由な農業」を実現しやすくなった今、市内では自分の夢を事業として形にしようと挑戦する新規就農者が増えています。その熱意は、地道ながら着実に地域の農業を活性化させています。
一方、消費者の間では「誰が・どこで・どうやって作ったか」を知りたいという意識が高まり、地元産の野菜や果物を積極的に選ぶ人が増えています。その選択は、生産者にとって大きな励みとなり、地域の農業を支える力にもなっています。
地域の食と農業を未来へつなぐために|。生産者と消費者が支え合い、地元で育てたものを地元で味わう「地産地消」のサイクルを、私たちの暮らしの中に根付かせていきましょう。

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※二次元コードは本誌P.5をご覧ください。

問い合わせ:
・農業の支援農林水産課農政担当
【電話】24-8845
・農地の貸借など農業委員会事務局
【電話】24-8826