くらし CDO補佐官 鈴木邦和(くにかず)のDXのすゝめ(第29回)

近年、自治体の予算を市民が直接提案し、市民の投票によって決定する制度が、海外を中心に広がっています。
例えば、パリ市では年間で約130億円の予算が市民による事業提案の実現に使われています。この制度では、まず市民が自身の事業アイデアをウェブ上で提案します。提案された事業は、市の関連部署によって実現可能性、公共性、市の権限内であるか、投資予算の範囲内であるかなどの基準で審査されます。審査を通過した事業案は、市民による投票にかけられ、最終的にオンラインの投票結果によって実施する事業が決定されます。
こうした制度はスペインのマドリード市でも導入されており、日本でも2016年から東京都が実施しています。これは民主主義のDXとも呼べるもので、これまで有権者が選挙や世論調査でしか民意を反映させることが出来なかったのに対して、新たな仕組みとして注目を集めているのです。
民主主義は世界の先進国の基盤となる政治システムですが、DXによって今後それすらも進化していくかもしれませんね。