- 発行日 :
- 自治体名 : 愛媛県大洲市
- 広報紙名 : 広報おおず 2025年6月号
肱川は、豊かな自然と文化を育み、産業や観光資源を生み出しますが、一方で水害リスクという課題も抱えています。
これまでの連載で見てきたように、肱川は私たちの暮らしに深く関わりながら、歴史を紡いできました。最終回では、「若い世代とともに考える防災まちづくり」について紹介します。
平成30年7月豪雨で大きな被害を受けた大洲市では、国・県・市が連携して「肱川緊急治水対策」を進め、令和6年5月末に堤防整備などが完了し、治水安全度は向上しましたが、気候変動の影響などで水害のリスクは依然として残っています。
そこで、市では国土交通省大洲河川国道事務所や愛媛県、東京大学とともに、令和5年度から市内の高校生を対象に「地域の防災意識の向上」と「水害リスクを踏まえた防災まちづくり」に取り組んでいます。
■肱川の地形的な特徴や特性
自然の特性を理解した上で、防災まちづくりの取り組みを進めていくことが大切です。大洲市の次世代を担う市内の高校生が東京大学生とともに「なぜ肱川では、洪水が頻発するのか?」を考え、肱川の地形的な特徴や特性を学びました。
■肱川流域に住む、自分たちでできることは何か
水災害リスクを出来る限り回避あるいは低減させるために自分たちで何が出来るのかを考えるため、ワークショップを行い、流域治水対策と大洲市の将来像を話し合いました。
〇若い世代が考えた流域治水対策
1.リスクを知り、地域で共有・伝承する場を作る
2.肱川流域全体で協力し、防災意識を高める
3.避難場所の確認や防災バッグの準備をする
4.災害・避難カードを作成し、住民や行政と連携する
〇若い世代が描く大洲市の将来像
1.住み続けたくなる安全・安心のまち
2.日常的な場所が避難所として利用できるまち
3.災害に強いまち
4.地域みんながつながるまち
■地域住民の方々への共有
ワークショップで若い世代が考えた防災まちづくりの取り組みについて“共に考える場”として、大洲市内の高校生たちが地域住民向けに報告会を実施しました。
報告会では高校生たちが「小学生や中学生など、次世代の子供たちに伝えていく活動をしたい」「平時の居場所が避難所になればよい」といった意見が出され、地域住民の方々と大洲市の防災まちづくりを考える貴重な機会となりました。
肱川の魅力を生かしたまちづくりを進めていく上でも、今後も肱川の特性や水害リスクを学ぶ機会を作っていきますので、市民のみなさんもぜひご参加ください。