その他 未来を拓く~次代へつなぐ~NEXT GENERATION

iino assemble
梶田沙織(さおり)さん

英語やイタリア語などを学ぶほか、最近は「食べ物が子どもの脳に与える影響」にも関心を持っていて、今しかできないと常に学ぶ姿勢を大切にしている。子どもたちの顔を見るのが何より好きでそれが日々の原動力。

■「善い食」を届けたい
お店の名前の由来は、「iino(いいの)」と「assemble(集まる)」を組み合わせた言葉で、「善いものが集まる」「善いものをつくる」という思いを込めて名付けました。
もともと東京で飲食店を経営しながら、ワンオペで子育てもしていました。時間に追われる中、息子にきちんとした食事を用意できていないことに、罪悪感を感じる毎日。ふと周りを見ると、私と同じような状況のお母さんがたくさんいるのを見て、「働くお母さんの力になりたい」と考えるようになりました。
息子が3歳になった頃、主人の家業である梶田商店の手伝いをするため東京から大洲に引っ越してきました。お店の手伝いをしながらも、“真っ当な善い食を多くの人に広めたい”という想いから、まずは自然派ワインや純米酒、食品添加物不使用の食材などを取り扱う酒屋を立ち上げました。そして3人目の出産を機に、以前から温めていた、赤ちゃんも親御さんも喜ぶ「ベビーフード」を作り始めました。
私は基本的に自分の作るものには、誰がどこでどのようにつくっているのか、生産者の顔が見える材料しか使いません。造り手の思いや背景をできるだけお客様に伝え、透明性のあるものづくりを心がけています。
大洲ええモンセレクションに認定されている「原木椎茸と昆布の佃煮」には、市内の中野はじめ商店さんが代々受け継いできた、山を守る活動の一環でできた原木椎茸を使用しています。また、梶田商店の醤油の絞り粕を農家さんに提供し、それを畑にまいて育てた野菜を商品の材料に使うなど、造り手同士の循環型システムにも取り組んでいます。
やっていてよかったと感じる瞬間は、親子でわざわざお店まで買いに来てくれたときです。どんな方が食べてくれているのかがわかるので、やはり顔が見えることが大切だと感じます。自分の作ったものが子どもたちの体のベースになっていると思うと、大きなやりがいを感じます。梶田商店の女将である以上、次の命に繋がるものを伝えたい。そして、発酵文化などの「日本の食」を国内外に広めていけるよう、これからも安心して食べられる「善い食」を届けていきたいと思っています。