文化 【ふるさと魅力発信】久万美術館

■菅亮平 The Long Wait
9月13日(土)から、2025年度自主企画展「菅亮平The Long Wait」が始まりました。
菅亮平(かん・りょうへい)は愛媛県出身の美術作家です。菅はこれまで「空虚(ヴォイド)」をテーマに、絵画・写真・映像・音楽などさまざまな表現方法で作品を発表してきました。本展では、松をテーマにした新制作を展示しています。自然に囲まれた美術館の環境や、久万高原町の歴史とも響き合う内容です。
松は昔から信仰の対象とされ、日本人の心の拠り所とされてきました。また、松明や墨といった生活の道具にも使用され、象徴的にも実用的にも、日本人の暮らしに深く関わってきた木です。菅は、松が持つこうした多様な側面に着目しています。
この町の木といえば、松ではなく、杉や檜を思い浮かべるでしょう。現に町内では松の姿はほとんど見られません。しかし、当館が所蔵する江戸時代の作品『久万山真景絵巻』には、多数の松が描かれています。実景に基づいて描かれたとされる本作から、過去には多くの松が生えていたと推測できるのです。
かつては存在したが今は姿を消した松。いわば「松の空虚」を、作品を通じて感じてください。(本田)

▽学芸員のつぶやき
菅さんのお母さまは旧久万町のご出身。菅さん自身も子どもの頃、久万の自然の中で多くの時間を過ごしたそうです。

問合せ:久万美術館
【電話】21‒2881【HP】http://www.kumakogen.jp/site/muse/