- 発行日 :
- 自治体名 : 愛媛県内子町
- 広報紙名 : 広報uchiko 2026年1月号
内子町の合併10周年を機に始まった「内子町小・中学生俳句大会」が、7年度で10回目を迎えました。その節目を記念して、過去の大会で最優秀賞を受賞した作品約80点を集めたパネル展示が1月16日(金)まで、共生館で開かれています。
同大会では作品を学年別に審査。「内子町教育委員会選」と「夏井いつき選」として優秀作品を選出しています。子どもたちにとっては、俳句を詠むという文化に触れるだけでなく、友達の作品に学び、また同じ作品を他の人がどのように感じたかを知ることで、想像力をより深める機会にもなっています。
皆さんもこの機会にぜひ、俳句の魅力に触れてみませんか。
●俳句っていろんなやり方があります。詞(ことば)で映像を作る句もあれば、自分の気持ちを季語にのっけて表現する句もある。俳句の作り方はたくさん、たくさんあるんです。
最優秀句を眺めて、次はこういうやり方に挑戦してみたいなという思いを持って、俳句のタネ探しをしてくれたらうれしいなと思います。
夏井いつき(第1回大会講評より抜粋)
■第10回大会の節目を飾った小中学生が切り取る世界
「第10回内子町小・中学生俳句大会」の表彰式が12月21日、共生館で開かれました。町内の小中学校から928点の応募があり、その中から最優秀賞8句などの入賞作が選ばれ、それぞれの講評が披露されました。
同会場では大会の第10回を記念して、過去の最優秀賞受賞作品を掲示しています。そこで今大会の選句を務めた2人に、歴代作品の中から「私が好きな一句」を選んでもらいました。皆さんも好きな作品を見つけて、その情景を思い描いてみてください。
●内子町教育委員会選
・花火まつ心がはずむ5分前
内子小2年 山田枇奈(ひな)さん
選句者の講評:「心がはずむ」という表現から、花火を待つ作者のわくわくした気持ちが伝わります。また「5分前」という表現が上手で、その気持ちがずっと前からふくらみ続けてきたことまで分かります。心の中のカウントダウンは進み、どおんと打ち上がった花火と同時に、作者の喜びも爆発したことでしょう。
・図書館の一日館長夏の空
内子小3年 中野寛絃(かんげん)さん
選句者の講評:図書館長として背筋を正し、来館者が気持ちよく利用できるよう心を配ります。体験を終えて緊張が解け、ほっとした安堵感と充実感が、生命力を感じさせる季語「夏の空」に表れています。チャレンジの心や新たな目標が生まれたかもしれません。貴重な体験を俳句に詠んだことで、心に深く残ったと思います。
・お父さんもうブランコを押さないで
五十崎中3年 今村駈(かける)さん
選句者の講評:中学校にはブランコはなかったし、中学生の我が子のブランコを父親が押すとは考えにくいので、作者の思いを「ブランコを押す」という行為を借りて表現しているのではないでしょうか。春は卒業、進学の季節。大きく羽ばたこうとする作者を、躍動感のある「ブランコ」に感じます。
●夏井いつき選
・へびまいたつめたかったよ夏休み
天神小2年 丸山蓮(れん)さん
夏井先生の講評:「へびまいた」の五音から、動物園やイベント会場でのふれあい体験を想像しました。「つめたかったよ」は、へびに触れた肌感覚でありながら、ひやっとするような心のドキドキ感でもあるのでしょう。へびを手で持ったのでしょうか。首に巻いたのかもしれません。何ともスリリングな「夏休み」の思い出です。
・父のあみにぼくが追い込むナマズとる
五十崎小4年 中山遼祐(りょうすけ)さん
夏井先生の講評:河川や湖沼など、水草の茂る泥底を好むナマズ。「父のあみにぼくが追いこむ」ということは用水路でしょうか。驚かさないよう、逃げ出さないように、ぼくがそうっと追い込み、父が網を構えてすばやくとらえる様子が目に浮かぶようです。親子の息がぴたりと合った瞬間をリアルに切り取った一句です。
・ばあちゃんの手さばき見つめるぼんおどり
立川小6年 白石晴都(はると)さん
※内子町教育委員会選とダブル受賞
夏井先生の講評:盆踊りの輪の中で、凜と美しい手さばきで踊っているばあちゃんは、いつもとは別人のようです。浴衣の人々や提灯、太鼓の響きなど、「ぼんおどり」のざわめきの中で、ばあちゃんだけを見つめているのでしょう。その静かな手さばきに、ご先祖様を送り出す思いを感じ取っているのかもしれません。
・ギヤマンに差し込む光青い僕
内子中2年 六車宇希(たかき)さん
夏井先生の講評:ガラスをカットし、美しい模様を刻んだギヤマンの器。差し込む光を青く、涼しく、寂しげに感じているのでしょう。取り合わされているのは「青い僕」です。青春の青さを、澄んだガラスの世界に重ねているのかもしれません。自分自身を繊細に見つめた心象風景のような、幻想的で美しい一句です。
●第10回大会の選句者にインタビュー
・俳句は言葉と心を豊かにしてくれる
天神小学校 教頭 岡田拓也(たくや)さん
俳句の魅力は、誰でも気軽に作れることです。季節を楽しみながら、言葉や語順などを試行錯誤する中で、作品に作者らしさや意外さが出るのも面白いです。俳句は子どもたちの「言葉を吟味する力」を育て、言葉と心を豊かにしてくれると思います。
作品の見方は人ぞれぞれ。基本のルールを押さえたら、自由に作ったり鑑賞したりして楽しんでほしいです。
歴代受賞作品から選んだ「私が好きな一句」:
ひがんばなあかちゃんうしがうまれたよ
第2回 小学校1・2年生の部最優秀賞 土居時道さん
…生まれたばかりの子牛の生命力と、彼岸花の赤色の組み合わせが絶妙に合っています。
・違ったものの見え方、思いの伝え方が身に付く
せきれい俳句会 主幹 毛利喜子(のぶこ)さん
20年ほど前から俳句会で活動しています。俳句を始めてから季節の変化に敏感になり、ものの見え方が変わったように思います。思いを伝える「言葉探し」をするので、普段のコミュニケーションも上手になると思いますよ。
子どもの視点は本当に面白い。たとえば食べ物はおいしそうに詠むのが普通だけれど、全く逆だったり。大人の思いつかない魅力に触れてみてください。
歴代受賞作品から選んだ「私が好きな一句」:
おかえりと祖母がひょいっと夏みかん
第8回 中学生の部最優秀賞 松元ことはさん
…何気ない日常を拾った一句。家族の温かいふれあいがしみじみと伝わりますね。
