くらし こがんひとこがんとこ VOL85

■『まあるいベーグルに恋して』
松野 久美子さん
(ベーグルまるいと店主)

「いつかおばあちゃんになったときベーグル屋さんができればいいな」とぼんやり考えていたゆるい計画は、“コロナ罹患(りかん)”によって急展開した。「このままじゃ死ねない!ベーグル屋さんをしたい!」4年前のことだ。

無類のパン好きだった彼女は、独身時代からパン屋巡りを趣味とし、ついには「自分で作れば焼き立てをたくさん食べられる!」と、自ら大好きなベーグルを焼き始めた。Webで調べた簡単レシピだったが、思いのほかおいしくできて家族にも好評。毎日焼き続け、家族の意見を参考に改良を繰り返し、最高においしいと思う“Myレシピ”を作り上げた。

結婚、出産でベーグルを思うように作れない時期もあったが、ベーグルへの愛は変わらぬまま。ただ自己流のベーグルはうまく作れても、本格的な製パン技術を学んでいないことに不安もあった。いつか叶えたいベーグル屋開店の夢に更に近づくため、ベーカリーレストランで約3年、市内のパン屋さんで約4年アルバイトをしながらプロの技術を覚え資金を貯めた。店を始めるには懸念材料も山ほどあったが、インターネットを探り、たくさんの”子どもを抱えながら店を営む女性たち”に、開店までの具体的な道筋を見せてもらい、大きな勇気をもらった。

国産小麦やキビ糖などの安心素材にこだわるのは子育て中のママならでは。ムチッとかみしめるほどに幸せな気持ちになるべーグルは今や80種類以上にもなる。リピーターは続々と増え、週1回の工房販売日には早いうちに完売することも。
「パンって発酵すると成長しているみたいに膨らんで、生き物みたいに生温かくって本当にかわいいんです!一つ一つに愛情が湧いちゃって!」彼女のこの慈愛は、きっとベーグルに伝わっている。
「たまにしか開かないのに『おいしかったから』と来てくださるのが本当にうれしくて」。わがままだなと思いつつ、これからも心を込めて焼ける数のベーグルを一つずつ丁寧に作っていこうと思う。ベーグルに真っ直ぐ向き合う迷いのない決心が、彼女の笑顔を輝かせている理由。

■「まるいと」の名前の由来
・ベーグルが丸っこいから「まるいもの」→博多弁で「まるいと」
・まる→円(まる・えん)→縁(えん)、ご縁の糸が繋がるといいなとの願いを込めて。

※月に数回不定期に工房販売、「るるるる」で第1火曜日販売、たまにイベント出店

◇ベーグルまるいと
住所:新久保2-17-13
営業日時:不定期(Instagramで案内)
現金のみ
P:工房前に1台
問い合わせ:InstagramのDMにて対応
※詳しくは本紙をご覧ください。