- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県古賀市
- 広報紙名 : 広報こが 2025年11月号
『My precious』
大浦 靖子(おおうら やすこ)さん
(農業/やっちゃん農園)
大学卒業後、会社員として13年間キャリアを積んだ。生活の糧である仕事が、人としての日々の営みに直接結びついていないことに漠然とした違和感を感じていた。奇しくも二人目の育休中「”好き”を仕事にした人たち」と出逢ったことが、人生を立ち止まり考えるきっかけに。”これからの自分の人生や、子どもたちとの時間の過ごし方はこれでいいのか?自分がやりたいことは?”自問自答し悩み抜いた結果が『農業』だった。
生まれたときから親や祖父母が作った新鮮な野菜を食べ、飼っているチャボを三輪車のかごに乗せて友達の家に遊びに行ったり、二人の兄や近所のお兄ちゃんたちと大根川でザリガニ捕りをした子ども時代。古賀の大地と水と空とを栄養に、のびのびと育った。当たり前だと思っていた生活が「豊かで、貴重な環境だった」と大人になって改めて気づいた。生涯を賭(と)して打ち込む仕事に、”自分を育んでくれた土地での農業”を選んだのは自然な流れだった。
畑仕事の朝は早い。天候によっては日没ぎりぎりまで作業したい時も多々ある。そんな時そばで支えてくれるのが父や母、そして家族の存在だ。目が覚めてママの姿がないと泣く時期は、目が覚めるまでに納品から戻り、ママの抱っこじゃないと駄目な時は、おぶってスイートコーンの調整作業をしていたことも。今では娘たちも成長し、たまに畑仕事を手伝ってくれるまでに。夫は子どもたちの送り迎えや家事、時々畑仕事も手伝ってくれる。彼がいてくれるからこそいつも安心して畑へ行けるという。
美味しい時期の野菜は収穫を待ってはくれない。趣味のサーフィンを楽しむ時間はなかなか取れないけれど、無心で行う毎日の畑仕事がストレス発散になり、心を穏やかにしてくれている。野菜を手に取って頂く方に「おいしいお野菜を作ってくれてありがとう」と言われると「こちらのほうこそありがとう!」と感謝の気持ちが込み上げてくる。家族やお手伝いしてくれる友人の協力があって、アドバイスをくれる地域の先輩農家さんがいて、自分の作った野菜を食べてくれる人がいて。筵内の温かな環境に支えられ大好きな野菜作りができるのは本当に幸せだ。きついこともあるけれど、辞めたいと思ったことは一度もない。野菜を育てたり、子どもたちと収穫したり遊んだり、心を整えてもらったり、”野菜作り”は今ではなくてはならない存在である。彼女にとって、野菜作りは人生そのものだ。
*現在さつまいもポタージュペーストと玉ねぎドレッシングを商品化し販売している。今後は、野菜だけではなく、野菜をふんだんに使った加工品にも力を入れていきたいと考えている。
サツマイモ収穫体験:毎年秋口10月の中旬から終わりにかけて募集します。この広報11月号が届いたころまだやっていたら申し込んでみてください。インスタグラムで募集します。(※詳しくは本紙をご覧ください。)
