- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県志免町
- 広報紙名 : 広報しめまち 2025年6月号
■Special Interview
消防団員に聞いた 平成21年、豪雨の記憶
16年前の平成21年7月、志免町を襲った記録的豪雨。大きな被害をもたらしたこの大雨災害の現場に、消防団員として対応した臼井紘一さんに当時の話を伺いました
〇第一分団 分団長 臼井紘一さん
団員歴18年。第一分団の分団長として、災害時には迅速な対応ができるよう日々備えを重ね、地域を支えてくれています
豪雨に見舞われた平成21年7月24日。当時消防団員3年目だった臼井さんが勤務先の福岡市から帰る途中で目にしたのは、水につかった志免町の姿でした。
「帰り道、どうにかタクシーを拾って別府北付近の交差点まで来たんですが、そこから先は水浸しで。膝下ほどの水でタクシーが進めず、雨の中を走って帰りました。宇美川の水位も上がっていて、恐怖を感じたのを覚えています」
消防団からの招集がかかっていたため、帰宅後すぐ格納庫へ。道路は冠水して車両は使えず、夜だったこともあり団員たちと歩いて町を巡回し、浸水状況を確認したと言います。
「強く記憶に残っているのは、翌朝の25日ですね。宇美川の側面が数カ所崩れていて、川の氾濫が3カ所あったんじゃないかな。私の管轄でも田富橋の上流が崩れていました」。この状況を受けて本部から招集がかかり、災害対応が本格化。作業は土のうを作る部隊、トラックで運ぶ部隊、川に積む部隊に分かれて進められ、臼井さんは土のう用の砂がある土生山浄水場へ向かいます。
「最初は土のうの作り方を知りませんでしたが、延々と作るうちにマスターしました。何百、何千と作ったと思います。あの時は与えられた使命を無心でやっていた記憶があります」
3日目の26日には川の崩れた箇所に土のうを積み、壁を築く作業にも参加。臼井さんは増水して茶色く濁った川で土のう積みを懸命に続けたそうです。
「声をかけ合いながらチームで動いていたので、不安はありませんでした。過去の大雨を経験した先輩たちがいたので〝ついていけば大丈夫〞という信頼感がありました」と振り返ります。この経験を通じて、臼井さん自身も雨の日は河川カメラを確認したり、普段から浸水リスクの高い場所に注意したりするようになったと言います。
「水害をきっかけに土のう作りなどの水害防止訓練の重要性はさらに高まりました。大雨が予想される際には事前に土のうを準備し、町内会と連携して地域に配布する態勢も整えています。災害はいつ起きるか分からないからこそ、自分が住むエリアの特性を知り、どんな行動を取るか、ぜひご家族で話し合ってください」と語ってくれました。
こうした急な災害に対応できるよう、消防団では操法大会の練習や訓練を通して体力とチームワークを鍛えています。大切な人の命を守るのは、町と地域、そして町民一人ひとりの力です。〝命を守る備え〞をこれからも重ねていきましょう。
■団員募集中!
消防団では新しい団員を募集しています。
〇消防団の活動を紹介
「消防団って、なんだろう。」
YouTubeで公開中(※二次元コード本紙掲載)
〇臼井さんも出場!日頃の訓練の成果を競い合います。
第59回志免町消防団ポンプ操法大会
日時:6/8(日)8時30分~開会式、9時~競技開始
場所:志免町役場裏駐車場