- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県芦屋町
- 広報紙名 : 広報あしや 令和7年3月号
■移動美術館展 注目作品紹介
2月22日土~3月16日日、芦屋釜の里、芦屋歴史の里、ギャラリーあしやでは令和6年度福岡県立美術館所蔵品巡回展移動美術館展「芸術の海へ飛び出そう~3館をめぐる芦屋アートの旅~」を開催中です。今回は、本展覧会の注目作品の中から福岡県立美術館所蔵作品を紹介します。
◇上野焼(あがのやき)「三彩茶碗」18世紀(芦屋釜の里展示)
上野焼は、小倉藩の御用窯(ごようがま)で、福岡県を代表する焼き物の一つです。慶長7(1602)年ごろに、朝鮮より渡来した陶工尊楷(そんかい)によって釜ノ口窯(かまのくちがま)(福智町上野)で始められ、現代でも茶陶の窯として広く知られています。江戸時代初期から明治時代まで操業した皿山本窯跡(さらやまほんがまあと)(福智町上野)からは、多種多様な技法や釉薬(ゆうやく)の陶器が出土します。今回展示する「三彩茶碗」は、緑釉(りょくゆう)と黄釉(おうゆう)の鮮やかさに目を惹かれる一点です。
◇伊藤髟耳(いとうほうじ)「春ふたたび」2011年(芦屋歴史の里展示)
伊藤髟耳(1938年生まれ)は、大牟田市出身の芸術家です。昭和36(1961)年に多摩美術大学日本画科を卒業後、昭和47(1972)年まで教職の傍ら制作を続けました。昭和41(1966)年には再興第51回院展に初入選を果たしています。その後も受賞を重ね、現在も精力的に活動を行っています。今回展示する「春ふたたび」は、北鎌倉の明月院(めいげついん)の境内の八重咲きの桜を描いた作品です。
◇中村研一(なかむらけんいち)「サイゴンの夢」1947年(ギャラリーあしや展示)
中村研一(1895~1967)は宗像市出身の洋画家です。大正3(1914)年に県立中学修猷館(しゅうゆうかん)を卒業後、上京。本郷洋画研究所を経て東京美術学校で岡田三郎助(おかださぶろうすけ)に師事します。研一は、前回紹介した田中繁吉の美術学校の1年先輩にあたり、同時期にフランスに留学しています。今回展示する「サイゴンの夢」は、研一の特徴である鮮やかな色彩と写実的な画風が表れた作品です。
このほかにも、福岡県立美術館のコレクションから選び抜いた美術作品を多数、展示します。3館をめぐる芦屋アートの旅を楽しんでください。
(芦屋歴史の里)