くらし 【特集】人と地域を「つなぐ」頼れる相談役 民生委員・児童委員

■希薄化する地域コミュニティ
少子高齢化や共働き世帯の増加、ICT機器の普及などのさまざまな要因が重なり、全国的に地域のつながりが薄れています。地域コミュニティの希薄化が進行すると、どのような問題が起こるでしょうか?
・災害時や緊急時の相互扶助が行われない
・地域の伝統や産業が継承されにくくなる
・高齢者の場合、孤立化により日常生活を送ることが難しくなる
・教育環境の劣化
・地域人口の減少
・地域経済の衰退 など
地域コミュニティとは、社会的・経済的に大きな役割を果たすものであり、地域を発展させていくために欠かせないものです。

■民生委員・児童委員とは?
地域を見守り、地域住民の立場で相談に応じる「地域の身近な相談相手」であり、厚生労働大臣から委嘱された非常勤の地方公務員です。住民からの困りごとや心配ごとを聞いて、地域の専門機関に「つなぐ」役割を担うほか、地域住民の一員として、高齢者や子どもたちの見守りや声かけなど、地域福祉の増進に努めています。
任期は3年で、ボランティアのため報酬はありません。子どもに関する支援を専門に担当する人や高齢者の生活を支援する人、学校などと連携して、地域の「子育て応援団」として協力している人など、活動内容はさまざまです。地域のつながりの希薄化が懸念される中、地域に根差した活動を行う民生委員・児童委員の存在にとても大きな期待が寄せられています。
今回の特集では、広川町の民生委員・児童委員さんにどのような活動をしているのかなどのお話を伺いました。

■地域のためにこんな活動をしています
○地域住民からの相談の対応
高齢者や障がい者、子育て世帯など、地域住民からのさまざまな相談に応じています。内容に応じ、行政支援につないだり、適切な福祉サービスを紹介したりと、課題解決に向け尽力しています。

○高齢者、障がい者世帯などの訪問、見守り
ひとり暮らしの高齢者や高齢者のみ世帯、障がい者世帯などを定期的に訪問しています。体調が悪化していないか、犯罪被害を受けていないかなどを見守っています。

○学校との連携
学校と密接に連携し、子どもたちの健やかな成長を支援しています。行事への参加や福祉教育への協力、課題のある家庭への訪問などを行っています。

○子どもたちの安全を守る活動
子どもたちが交通事故や犯罪に巻き込まれないよう、登下校の見守りや声かけ、通学路周辺のパトロール活動などを行っています。

○「いきいきサロン」などの運営協力
高齢者が地域の中で孤立しないよう「サロン」の運営に協力し、居場所づくり、仲間づくりなどを行っています。

○災害時要援護者の支援体制づくりへの参画
災害時要援護者(高齢者や障がい者など)の避難支援体制づくりに参画し、情報を共有しています。

○すこやか赤ちゃん訪問
生後3か月を迎える乳児がいる家庭へ、主任児童委員と対象児が住む地区の民生委員・児童委員が訪問します。成長確認や育児に関する不安や悩みの傾聴など、子育ての継続的支援を行っています。

■「地域のつながりを大切にしたい。私たちはこの町が大好きだから」
広川町の民生委員・児童委員さんに「4つ」の質問をしました。
(1)民生委員・児童委員に就任したきっかけは?
(2)主な活動内容は何ですか?
(3)活動する中で思うことはありますか?
(4)ずばり、やりがいは何でしょう?

○主任児童委員 塩澄文子さん
(1)以前からPTA活動や国際理解教育に興味を持っていたところ、不登校の子どもへの声かけなどを行う「学習支援員」にお誘いただいたのがきっかけです。そこから主任児童委員に就任し、今年で12年目になります。
(2)登校時などの子どもの見守り活動と生後3か月の赤ちゃん訪問です。町外の会議や研修に出席することも大切な仕事であり、外で得た知識や気づきを町内での活動に反映させています。
子どもたちのために自分に何ができるのかを考え、気軽に相談できる「地域の身近なおばちゃん」になりたいと思いました。もっと多くの子どもに認知してもらう必要性を感じています。子どもたちに覚えてもらうため、カエルの人形を持つようになりました。
(3)「私の活動は本当に地域に必要なのだろうか?」と自信をなくしたこともありました。しかし「こどもまんなかプロジェクト」など、子ども中心のこれからの町づくりのお話を聞いて、民生委員・児童委員の活動の重要性に改めて気づくことができました。目立たなくても縁の下の力持ち的な存在として、地域のために活動を続けていきます。そして、次の世代の地域の若いお父さんお母さんにこのバトンをつないでいきたいと思っています。
(4)子どもの生き生きした顔を見れること。広川町の小中学校を卒業した子どもたちが大きくなっても声をかけてくれることが何よりうれしいです。
私の影響で、夫も「子どもの成長を見るのが楽しい」と地域活動のお手伝いなどを始めたのもうれしいことです。

○民生委員・児童委員 中村千惠子さん
(1)町外で生活している私の孫が「その土地の地域の大人たちにお世話になっているのだな」と思ったとき、私も自分が住んでいる地域の子どもたちに何かできることをしたいと思ったのがきっかけです。
(2)子どもと高齢者世帯の見守り活動です。
核家族化などで人間関係が希薄化している現代こそ、必要な役割だと思いました。民生委員・児童委員のほか、4つの地域活動を行っています。
(3)地域の高齢化率の上昇と地域コミュニティや親子関係の希薄化に危機感を覚えています。高齢者の場合、何か不自由があっても自分の子どもに相談できず、私のところに相談に来るケースもあります。
自身が年齢を重ねて周りの助けが必要になったとき、地域の民生委員・児童委員さんに相談できる町であってほしいと思います。
(4)私たちの活動をみて、次の世代の人が民生委員・児童委員の活動をしてみたいと思ってくれたらうれしいです。
あとはやはり、子どもたちが声をかけてくれることがうれしい。いつも元気をもらっています。

問合せ:福祉課福祉係
【電話】0943-32-1113