くらし 野生動物の被害から作物を守ろう

町内では野生動物による農作物への被害が相次いでいます。
令和6年度の有害鳥獣の捕獲数は、イノシシ・シカで計227頭と、これまでで最多となっています。農作物の被害額は166万円と、防護柵や捕獲活動で抑えられてはいるものの、被害に悩む声は絶えません。
追い払うための巡視員の派遣や柵の購入補助など、町も対策に取り組んでいます。ただ、効果を上げていくためには、個人や集落でも積極的に対策していただくことが必要です。支援制度も活用し、対策を進めましょう。

■国の補助で柵を設置 早めの対応で被害防止
採銅所1区区長 坪根文克(つぼねふみかつ)さん
▽動物との知恵比べ
兼業農家として長年、田畑を世話してきました。イノシシによる被害は以前もありましたが、十数年前からシカの食害が目立つようになりました。地区では田んぼの半分を食い荒らされたケースもあります。
イノシシはトタンの囲いで防げましたが、シカは飛び越せるため、効果がありません。そこで5年ほど前、町を通じて国の補助を受け、山際にある田んぼにワイヤーメッシュ柵を設置しました。他の農家を含む4戸の田んぼ計約1万平方メートルを、ぐるりと囲んでいます。
今年8月、この柵の一部が壊れているのに気づきました。下部が破損し、シカが出入りできる状態でしたが、すぐに木材でふさぎ、被害を出さずに済みました。補助の申請も、日々の修繕も、早めの対応が大事ですね。
田畑は先祖から受け継いだ財産。代々、つないでいくのが子孫の役目だと思います。獣害対策は動物との知恵比べですが、町の担当課とも意見交換しながら、効果的な方法を探り、対策を続けていきたいです。


■動物も必死 まずは自衛策を
田川猟友会香春支部長 植田進(うえだすすむ)さん
▽狩猟者の減少に懸念
銃を扱って52年になります。
元々、射撃は趣味でしたが、要請を受けて鳥獣対策にあたっています。福岡県からの要請で毎年12月、町内の山にイノシシの駆除に入るほか、住民から被害の情報を受けた町の依頼で、現場に向かうケースもあります。
動物は頭が良く、簡単に駆除できるわけではありません。猟銃の火薬のにおいを知っているサルは、車に火薬を積んでいない時は逃げず、積んでいればすぐにいなくなります。
猟友会のメンバーは現在15人ほどと、10年前の約20人から減少しています。若手も育てていますが、お金も時間も必要で、狩猟者は一朝一夕に増やせるものではありません。
大事な田畑を守るため、まずはできる自衛策も進めてほしいと思っています。

■狩猟の担い手確保へ 体験イベントを開催
一般社団法人「カワラカケル」は、狩猟者の育成などを目指す「狩猟体験イベント」を企画しています。
田川市の女性猟師を講師に迎え、まず畑に設けられた獣害防止の柵などを訪ねて、農家の目線で鳥獣対策を考えます。その後、くくりわなや箱わなが仕掛けられた山中を歩き、わなにかかったイノシシをしめて食肉にする過程を見学し、猟師の営みを体感します。
今年2月と4月に開かれたイベントには各約10組が参加。次回は12月6日に行います。ぜひご参加ください。

問合せ:カワラカケル
【電話】32-3115

■被害を減らすための3本柱

■自分の農地は自分で守る