- 発行日 :
- 自治体名 : 佐賀県有田町
- 広報紙名 : 広報有田 2025年9月号
重要無形文化財保持者(人間国宝)で有田町名誉町民の井上萬二さんが7月14日に福岡市内の病院でお亡くなりになりました。享年96歳でした。
井上萬二さんは、昭和4年に有田町に生まれ、15歳のときに旧日本海軍の航空隊に入隊。海軍飛行予科練習生として訓練に励まれ、終戦後に有田へ復員し作陶を始められました。白磁やろくろの技法などを十二代酒井田柿右衛門氏や初代奥川忠右衛門氏に師事し、その後、佐賀県立有田窯業試験場(現在の佐賀県窯業技術センター)の技官として勤務しながら有田焼のデザインや釉薬を研究。昭和43年に開催された第15回日本伝統工芸展での初出品・初入選を皮切りに多くの展覧会で入選や受賞をされました。また、後進の育成にも尽力され、ペンシルベニア州立大学やニューメキシコ州立大学など海外でも作陶の指導を行われました。
平成7年、白磁の優れた工芸技法が国の重要無形文化財保持者に認定されました。平成17年に「有田町名誉町民」となられ、町の顔としても広く尊敬を集められました。
国内だけでなく、ドイツやアメリカ合衆国など世界各国で個展を開催され、世界に向けて有田焼を紹介するとともに文化交流にも大きな影響を与えられました。
町は、井上萬二さんの遺徳をたたえ、9月9日(火)14時から町公葬を焱の博記念堂にて行います。
※町公葬は、有田陶芸協会と合同で追悼式として執り行います。
■井上萬二作 白磁花形花器
第15回日本伝統工芸展にて、初出品・初入選された作品。
※「萬二」の「萬」は環境依存文字のため、置き換えています。正式表記は本紙をご覧ください。