しごと つたエールけん

■便利屋ひぃ坊(小値賀町)
代表 江浦 仁志(えうら ひとし)さん

◇高齢者に寄り添い、島内を駆け回る
島民のうち65歳以上の高齢者が50%を超える小値賀町で、島内唯一の便利屋さんが忙しく駆け回っています。「便利屋ひぃ坊」を2021年に創業した江浦仁志さん。高齢化や人口減少を背景に、暮らしのサポートや困り事の解決に力を注いでいます。

小値賀で生まれ育ち、漁業や建設業に従事してきました。建設業で島内の現場を回っているうちに、近隣の高齢者から台風対策の手伝いを頼まれるようになり、窓を覆う作業などの力仕事ができない高齢者をよく見かけるようになりました。多くの高齢者が身の回りのことができなくて困っていると感じ、「困っている人の役に立ちたい」という思いで、便利屋ひぃ坊を創業しました。
島の高齢者は身の回りのことを限界まで自分でやっていて、困り事があれば一度は近所や親戚にお願いする。それでも二度目を頼むのは心苦しいのでしょう。そんなときに依頼の電話が鳴るんです。
80代以上の方からはごみ出しの依頼が多く、庭の草刈り、通院で不在になる際の飼い猫の餌やりなど日常生活に関わる依頼が舞い込んできます。島外の方からは、島内にあるお墓や空き家の管理、島に住む親への弁当の配達などの依頼があり、高齢の親を心配するお子さんから依頼を受けた際には、親御さんと会話を交わし、体調が悪そうなときはお子さんへ連絡するなど、高齢者とご家族が安心できるように心掛けて対応しています。
いろいろな困り事に応えていく中で、泣いて喜んでくれる方もいます。そのような姿を見て「人のためになっているんだなぁ」と実感しています。
最近は、住人の方が介護施設へ入所したり、亡くなった場合に、空き家から不用品を運び出す依頼も増えてきています。今後も高齢化の進行や空き家の増加は考えられますが、高齢者のサポートを続けていき、空き家は住める状態のうちに不用品を搬出して、移住者などがリフォームして住むことができる環境を整えることで、島の景観の維持にもつなげていきたいと思っています。