- 発行日 :
- 自治体名 : 長崎県長崎市
- 広報紙名 : 広報ながさき 令和7年6月号 No.893
■今月のテーマ
小笠原諸島を発見した嶋谷市左衛門(しまやいちざえもん)
延宝3(1675)年閏(うるう)4月5日、江戸幕府の命令を受けた1隻の船が現在の静岡県にある下田港を出発し、約1000キロメートル先の南の島に向かいました。乗組員は合計43人で、船長兼航海士として長崎の船頭、嶋谷市左衛門が率いました。嶋谷はこのとき69歳の大ベテランでした。過去に東南アジア方面に航海の実績があったことから、嶋谷が選ばれたのです。
5月1日、無人島に到着しました。現在の小笠原諸島の父島(東京都小笠原村)です。周辺の母島、南島、兄島、弟島もあわせて調査し、その後6月17日(16日説もあり)に下田港に帰着しました。
嶋谷たちは、それらの島から動植物や鉱物などを持ち帰り、幕府に提出しました。絵師が描いたその品々の絵は現在も残っています。
この航海は、幕府が行った最初の遠洋調査と言えます。海外渡航が禁じられた当時の日本で、海外への航海の経験があった嶋谷の腕がいかんなく発揮されました。
そんな嶋谷たちの航海の日々や、どんな船でどうやって無人島へたどり着いたのか、気になりませんか?
今年度、開所10周年を迎える長崎学研究所。記念イベントの一環として「知られざる長崎の偉人」嶋谷の足跡を紹介する講演会やパネル展を9〜10月上旬に開催します。今後の情報にぜひご注目ください!
長崎学研究所 学芸員 田中(学)