しごと 今日も誰かの“おいしい”のために(2)

▼2.農業の商品開発 じゃがいものおいしさを知ってほしい
農業の可能性を信じて。加工所で主婦のアイディアを形に
〇じゃがのまつなが(西海町)
松永寿美子(まつながすみこ)さん
10年前に夫の尚継(なおつぐ)さんが就農。5年前に全くの初心者で本格的に農業を始めた。女性の視点で加工品の開発、製造・販売などに力を入れている。

▽農業を始めたきっかけは?
農家の長男である主人が、後継者として10年前に脱サラをして就農し、じゃがいもとさつまいもを栽培しています。私が本格的に一緒に農業を始めて6年目になります。それまでは市役所の臨時職員として働いていましたが、主人が後を継ぐことになり、私も一緒にやらざるを得なかったですね。農業に関しては全くの初心者でのスタートでした。
今年の10月から稼働し始めた加工所では、コロッケ、さつまいもスティック、いもけんぴ、冷凍マッシュポテトを製造し、直売所で販売をしています。個人のお客様の注文にも対応しています。

▽加工を始めたのはどうして?
女性農業者が集まる会に参加した時、同席した島原の農家さんがとてもお元気な方で、しょうがを栽培して加工所でいろんな商品を作っていると聞き、見学に行きました。「主婦のアイデアがお金になって稼げるんだよ」と活き活きされていて、うちでもできるんじゃないかと刺激を受け、加工所を作れないか主人に相談しました。

▽商品化に向けて取り組んだことは?
最初にコロッケを商品化しました。主婦の方から「コロッケって手間がかかるからなかなか作らない」と聞いて、収穫でキズがつき、おいしいのに市場に出せないじゃがいもを活用できたらと思いました。普段お店で入手できない「ながさき黄金(こがね)」を使い、試行錯誤して、味付けをした食べやすい大きさのコロッケです。
昨年は、このコロッケをイベントで揚げたてで販売してみたところ、反応がよかったので、主人も加工所を作ることにOKを出してくれました。西海市の支援事業を活用して加工所を整備し、今年10月から加工品の製造をしています。コロッケは特に人気の商品です。添加物なし100%じゃがいもの冷凍マッシュポテトは、レンジで6分温めるだけでポテトサラダやコロッケのベースができるお手軽な商品になっています。

▽今後の展望と新規就農に関心のある若い世代へひとこと
今後は、イベントに出たり、新商品やコラボ商品の開発をしてみたいと考えています。
農業は大変で厳しいですが、時代が変わり、やり方次第では無限の可能性を持っているんじゃないかなと思っています。
最初はやらされている感で楽しくないこともあったけれど、SNSを始めてじゃがいもを全国に発送してみたら、お客様の声がダイレクトに返ってきて、それが励みになり、やる気が出ます。「予約開始」と案内をだすと「待ってました!」とコメントをいただいたり、直接お客様と繋がれることに魅力を感じています。