- 発行日 :
- 自治体名 : 長崎県波佐見町
- 広報紙名 : 広報はさみ 令和7年5月号
◆口臭について
玉川内科・歯科医院 玉川俊行
口臭症には、「真性口臭症」と「心因性口臭症」とに大別されます。
「真性口臭症」とは(1)生理的口臭、(2)口腔由来の病的口臭、(3)全身由来の病的口臭の事をいいます。
・生理的口臭は起床時(睡眠中に唾液の分泌量が減少することで口腔内細菌が増殖する)の口臭、ニンニクやアルコール等の嗜好品摂取での口臭です。
・口腔由来の病的口臭は「虫歯(虫歯が進行すると腐敗臭を出すこともある)や歯周病(歯周病の原因菌によるガスの発生やさらに悪化すると出血や膿の発生による悪臭)、舌の表面に付着する帯黄白色の舌苔(ぜったい)が原因のお口由来の口臭です。
・全身由来の病的口臭は蓄膿(ちくのう)症などの鼻疾患や糖尿病などの全身由来の口臭の事を言います。
心因性口臭はさらに(1)仮性口臭症(2)口臭恐怖症と細分化されます。
・仮性口臭症とは口臭はごく弱いか、全く認められず、検査結果などの説明(カウンセリング)により訴えの改善が期待できるものをいい、口臭の検査方法としては、官能検査(実際にお口の臭いをかいでスコア分類すること)、機器検査(ガスクロマトグラフィーや半導体センサーにより口臭の原因であるガスを測定すること)があります。口臭の測定機器は、口臭外来などの専門外来にしか設置されていないことが多いと思われます。
・口臭恐怖症とは、真性口臭症、仮性口臭症に対する治療では訴えの改善が期待できないもののことをいい、精神科や心療内科への受診が必要となる場合があります。口臭がコミュニケーションの障害にもなる可能性もあり、人間関係のなかでコミュニケーション破壊が生じると、たとえ治療で口臭が改善できたとしても、精神的ダメージはその人の人生を変えることもあると言われます。
実際、口臭があるかどうかはなかなか自分では分かりにくいと思いますので、もし悩まれているのであれば一度かかりつけの歯科医院にご相談されることをお勧めします。