くらし 元樹(げんき)だより 市長からのメッセージ

新緑がまぶしい5月を迎えました。この4月から新生活をスタートさせた皆さんにとっては、新たな環境にも少しずつ慣れ、緊張がほぐれてきた頃ではないでしょうか。
さて、今年度から市立中学校の標準服(制服)に、新しく「ブレザータイプの共通標準服」が加わりました。新たな標準服は、男女の区別がない「ジェンダーレス」なデザインで、性別に関係なくスカートとスラックスを自由に選ぶことができます。従来の詰襟学生服やセーラー服も引き続き着用可能で、生徒は3種類の中から自分に合った服装を選べるようになりました。
「制服の選択肢を増やす」動きは全国的なもので、背景には、多様性を尊重し、個性を大切にする考え方があります。また、快適性や経済性といった実用面も重視すべき配慮です。例えば、寒い日にはスラックスを選ぶことでより快適に過ごせるなど、生徒一人ひとりが自分に合った選択をすることで、学校生活がより充実したものになるのではと期待しています。
「多様性」を尊重する社会は、誰もが生きやすい社会です。一見すると少数派(マイノリティ)への配慮のように感じられるかもしれませんが、実際には多くの人々にとっても暮らしやすい環境をつくることにつながります。今回の新標準服の導入は、単なる服装の変化にとどまらず、多様性を認め合う意識を育むきっかけになると考えています。
先日、中学校の入学式に出席した際、学ランやセーラー服、ブレザーを着た新入生たちの姿を見て、詩人・金子みすゞさんの「みんなちがってみんないい」という言葉を思い出しました。考えや価値観が人それぞれ異なるのは当然のことです。違いを認め合い、互いを尊重することが、より良い社会を築く土台となります。
次代を担う中学生の皆さんには、こうした多様性を尊重する姿勢を理解し、互いの個性を認め合いながら、それをこれからの社会を生き抜く力に変えていってほしいと願っています。
元松茂樹