- 発行日 :
- 自治体名 : 熊本県宇土市
- 広報紙名 : 広報うと 令和7年10月号
お気に入りを、見つけに行こう!
宇土市には、4人の陶芸家がそれぞれの「窯元」を構えています。色も形も、手ざわりも、どれひとつとして同じものはなく、見て、触れて、選ぶ楽しさがそこにあります。
この特集では、そんな自分のお気に入りに出会える宇土の焼き物スポットをご紹介。
■土や素材の魅力を引き出す 梅田健太郎窯
地元で採れた土や素材の個性を見極め、梅田さんにしか生み出せない陶器をかたちにする。宇土や網田、唐津など、自ら赴き土や石を採取し、粘土や釉薬へ。冬に焚いた薪ストーブの灰までも活かし、自然の恵みを余すことなく取り込む。ゼロからつくる焼き物には、手間と時間、そしてこだわりが詰まっている。
◇SPOT DATA
住所:宇土市上網田町402
不定休
※来窯の際は、必ず電話連絡をお願いします。
【電話】090-3017-6650
◇1350℃まで上がる登り窯。これも手作り
下網田町の見晴らしの良い丘に佇む登り窯。この窯で、1350℃の温度で22時間かけて焼き上げる。段々畑だったこの場所、窯、小屋すべてが手作り。
◇梅田健太郎(うめだけんたろう)さん(53)
愛知県瀬戸市出身。24歳から佐賀県唐津で焼き物の修行に。その後、宇土市で工房をひらく。唐津仕込みの、藁灰を釉薬に混ぜてかける乳白色の釉が特徴の「斑唐津」、鉄分の多い釉薬を使う「黒唐津」、その二つの釉薬を使い、熱で釉が自然に溶け合う模様が楽しめる「朝鮮唐津」など多種の焼き物を制作。
展示室には、白黒の模様が特徴的な作品が並ぶ
■自然をモチーフに手びねりで 陶工房あねもね
日々の暮らしで目にした草露や雪のかたちを手びねりで紡ぎ、自然のやさしさを映す作品を生み出す。草露や雪のかたちに心をとめ、手びねりでそっと紡ぎ出す作品は、自然のやさしさを静かに映す。暮らしの中の草露や雪に着想を得て、手びねりで紡ぐ作品は、自然のやさしさをそっと映し出す。
◇SPOT DATA
住所:宇土市岩古曽町2740-5
不定休
※来窯の際は、必ず電話連絡をお願いします。
【電話】090-2710-5402
◇御興来海岸をイメージした模様をあしらい
宇土に来て初めて御興来海岸の夕陽を見に行って、感動した思い出を陶器で表現。夕陽のような色合いと砂の模様、波の動きをイメージして制作。
◇下村雅子(しもむらまさこ)さん(63)
熊本市出身。友人から誘われ、趣味として陶芸を始める。約20年前に宇土市に移住し、工房をひらく。週に3回焼き物教室を実施。焼き物体験も受け付けている。ネコ好きで、毎年1種類はネコをモチーフにした焼き物を制作。
作っているとき無心になれるのが陶芸の魅力と話す下村さん
■咲き誇る瞬間を陶器に写し出す 蒼土窯
葉や根、花を粘土に押し当て、植物のかたちと気配を写し取る「草木捺彩陶(そうもくなつさいとう)」の第一人者・前田さん。しなやかな葉を持つ日本の植物だからこそ可能な技法で、同じものは二度と生まれない。咲き誇る瞬間の「生命」を陶器に映し出すため、前田さんは植物と対話しながら、ひとつひとつ丁寧に作品を仕立てる。
◇SPOT DATA
住所:宇土市下網田町380
不定休
※来窯の際は、必ず電話連絡をお願いします。
【電話】0964-27-0777
◇上皇后美智子さまがお育てのハナシノブを陶板に
阿蘇郡高森町に自生するハナシノブと上皇后美智子さまのご縁を取り持った植物研究家・佐藤武之さんが、美智子さまから送られたハナシノブの美しさを永遠に残したいと前田さんに依頼し、花を型取った陶板を制作。
◇前田和(まえだかず)さん(81)
熊本市出身。大学時代に陶芸と出会う。瀬戸市で陶芸家として活動。東京の銀座など、その時代の中心に出展し、「今生きている人にヒットするもの」を作り続けるために模索してきた。36歳の時、熊本城に展示された「網田焼」に感銘を受け、現在の下網田町に家族で移住。蒼土窯をひらく。「網田焼」の復元にも取り組む。
草木を型取った模様があしらわれた湯呑や小皿も人気を集めている
■細筆が描く温もりの器 工房青彌(せいや)
天草陶石をもとに生まれる、澄んだ白さが際立つ器や、深みのある青が美しい顔料「呉須(ごす)」を用いた絵付けが魅力。細筆で丁寧に描かれた模様には、手仕事ならではの温もりが宿る。持ち手がしっかりしたカップや、花が自然と収まる花瓶など、使う人の目線に寄り添った、暮らしを彩る器づくりを大切にしている。
◇SPOT DATA
住所:宇土市上網田町311
不定休
※来窯の際は、必ず電話連絡をお願いします。
【電話】0964-27-1403
◇陶器のアクセサリーが人気!
繊細な絵付けと手仕事の温もりが宿る、陶のアクセサリー。手仕事ならではの質感が、身につけるたびにやさしく心を彩る。
◇梅田幸子(うめださちこ)さん(78)
玉名市出身。35歳から陶芸を初め、自宅に工房青彌をひらく。モットーは、「他には無いものを作る」。工房の周りには、四季折々の花が咲く素敵な庭があり、陶器とともにお花も楽しめる。
展示室には、細筆で描かれる模様が美しい花瓶やお皿が並ぶ
