- 発行日 :
- 自治体名 : 熊本県合志市
- 広報紙名 : 広報こうし 令和7年4月号 第229号
男女共同参画推進懇話会
無田倫子(むた りんこ)さん
『名もなき家事は誰がしている』
『名もなき家事』。最近耳にする言葉ですが、皆さんはご存じですか。料理、洗濯、掃除といった名前のある家事以外のこまごまとした家事のことを指す言葉です。ゴミ箱に新しく袋をかける、洗剤の補充をする、冷蔵庫を整理して毎日の献立を考える、家族のスケジュール管理やこどもの学校の準備、習い事の送迎、忘れ物の対応などなど。最初に聞いたとき、「そうそう、家事と表現できなかったけれど、地味に大変なんだよね」と、ネーミングに共感しました。
小さなことですが、日々の暮らしを支えるこまごまとした家事は数えきれません。これらを誰がやっているのかを意識することは少ないかもしれませんが、家族が快適に過ごすためには欠かせない仕事です。
近年、共働きの家庭が増えていますが、令和6年版男女共同参画白書では家事関連に費やす時間は女性が多いとされており、無意識のうちに役割分担が固定化されているようにさえ感じます。「家事分担しているよ。ゴミ出しとか手伝っている」という夫も多いと思いますが、妻からすると「私も働いているのに、これしかしてくれない」という気持ちのすれ違いが生じている場合もあります。
家事は、名前のない気づきにくい仕事も含めて、家族みんなの仕事であるという意識を持つことが大切です。普段〝誰か〟がやっている小さなことを話し合い、気づき合うことから始めてみてはどうでしょう。
名もなき家事の重要性を互いに認め合い「〇〇してくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝えることで、ポジティブな雰囲気が生まれます。支え合い、協力する姿勢を持つ日常の小さな積み重ねは、家族の関係が良くなるだけでなく、自然と男女共同参画社会の実現へとつながるのではないでしょうか。