文化 特集 高森町史刊行記念(2)

■サンショウウオの宝庫!?高森町の両生類
●自然編/第3章 動物(哺乳類、爬虫類、両生類、淡水魚、昆虫)
熊本県 博物館ネットワークセンター 博物館活動嘱託(動物) 中薗 洋行

高森町には牧野や草原、水田といった阿蘇を象徴する環境に加え、根子岳や祖母山のブナ林、白川、大谷川、川走川の渓流など、実に様々な環境があり、数多くの生きものが暮らしています。特に両生類の種数の多さは注目すべきもので、今回の高森町史の調査では、現地調査と文献記録から15種もの両生類が確認されました。これまで熊本県で確認されている両生類の種数は20種なので、その75%が高森町に生息していることになります。以下でその中身を、無尾類と有尾類とに分けて紹介します。

▽無尾類(カエル類)
熊本県内に生息している全ての在来種、すなわち、ニホンヒキガエル、ニホンアマガエル、タゴガエル、ニホンアカガエル、ヤマアカガエル、ツチガエル、トノサマガエル、ヌマガエル、シュレーゲルアオガエル、カジカガエルの10種が確認されました。一方、県内で平野部を中心に蔓延しているアメリカ原産のウシガエル(特定外来生物)が確認されなかったことから、高森町では比較的健全な水域生態系が保たれている様子が窺えました。

▽有尾類(イモリ・サンショウウオ類)
現地調査で、アカハライモリ、オオイタサンショウウオ、ソボサンショウウオが確認されました。また、現地調査では確認できませんでしたが、文献記録からベッコウサンショウウオとコガタブチサンショウウオの生息も確認され、合わせて5種の有尾類が高森町から確認されました。日本に生息しているサンショウウオ類はほとんどの種で地域固有性が高く、また、同様の繁殖様式をもつ種どうしが地理的に棲み分けていることが多いため、1つの市町村に4種ものサンショウウオ類が生息しているところは県内でも他にないものと思われます。九州の中央部に位置し、水系の異なる複数の渓流が町内を流れている高森町の地勢が生んだ“奇跡”と言えるでしょう。特にソボサンショウウオ(国内希少野生動植物種)は、県内では高森町のごく限らせた場所のみに生息しており、オオイタサンショウウオも県内では高森町から産山村にかけての県境部のみに生息しています。また、ベッコウサンショウウオ(熊本県指定天然記念物)の生息も特筆され、この記録により従来知られていた本種の分布北限(山都町蘇陽峡付近)が更新されることになりました。

高森町におけるこうした両生類の多様性の高さは、そこに住む人々が水辺や森を大切に守り育んできたことにより現在まで維持されてきたものです。この愛らしい生きものたちを“地域の宝”として認識し、次世代へと伝えていくことは、結果として彼らが暮らす美しい水辺や森を次世代に伝えていくことにも繋がるのではないでしょうか。

■高森町の自然と野鳥
●自然編/第3章 動物(野鳥)
日本野鳥の会 熊本県支部 支部長 田中 忠

野鳥編は図鑑としても活用できるように、町内で観察された野鳥を写真で紹介しています。高森町では、133種の野鳥が記録されていて、季節によって代わります。そこで、夏鳥、冬鳥、旅鳥、留鳥に分けて写真とともにその特徴と環境を説明しました。また外来種と、近年観察できなくなったり逆に観察するようになった野鳥も取りあげました。さらに、継続的な野鳥観察を科学的にまとめた例として、南阿蘇ビジターセンター周辺で増田泰夫様が観察された5年間の記録からわかったことを、表やグラフにしました。児童・生徒の皆さんは、ぜひ理科学習の参考にしてもらいたいと思います。そして、大好きな高森町で私が観察したデータをもとに、旧小学校区8地域に分けて観察できる可能性を一覧表にしています。最後のページに、種名から検索できる和名索引も設けています。多くの方が身のまわりの野鳥に興味を持っていただき、高森町のすばらしい環境を楽しみながら、日々の生活に活用していただくことを願います。
町内の環境は、祖母山から外輪山までの、野尻、河原、尾下、草部北部、草部南部地域に、草原や畑、林が広がり、渓流は大分県と宮崎県に流れます。外輪山内側の上色見、色見、高森地域は、畑や林、住宅地が広がり、流水は熊本県に流れます。草原は採草や野焼きで維持され、草原性のセッカやホオアカが生息します。水辺には、ヤマセミやセグロセキレイ、キセキレイなどが生息し、林には森林性のクマタカやヤマドリ・ヒガラ、ゴジュウカラなどが生息していて貴重です。住宅地には、スズメやツバメ、そして農耕地にヒバリやキジが生息します。
「野の花と風薫る郷」高森町には、野鳥だけでなく多くの生物が息づき、町民の皆様の活動で貴重な環境が維持されています。このすばらしい環境を町の誇りにしていただき、ぜひ子どもたちの未来や町づくりにも活かしていただけるとありがたいです。
私は20代で草部南部小学校に勤務し、最後は教育委員会で高森ポイントチャンネルを通して、「大自然に生きて」や「風丸くんのホットひと息」「たからものさがし」「輝けサイエンス」などの自然番組に出演しながら、高森のすばらしさを町民の皆様と一緒に楽しませていただきました。お世話になった恩返しになればという思いも込めて執筆しましたが、身近な野鳥との出会いが皆様の笑顔につながりますと幸せです。

『高森町史』は教育委員会にて販売しております。
また、町民の皆様に広くご覧いただけるよう町内公民館及び集会所に1部ずつ配備するとともに高森町タブレット図書館で閲覧することもできます。

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