くらし ハートがたくさんの村づくり Vol. 228

差別のない、人への思いやりを大切にする、明るい南阿蘇村をつくりましょう。

■無償の教科書に込められた思い
◇平等でなかった義務教育
新学期を迎え、小・中学校では、真新しい教科書を手に、新しく始まる生活に期待と緊張感を持った子どもたちの表情が目に浮かびます。
現在、無償で配られている義務教育の教科書ですが、約60年前までは、各家庭で購入しなければならなかったことをご存じでしょうか。
有償時の教科書は、多くの家庭にとって、経済的負担は軽いものではなく、苦労が絶えませんでした。家庭の事情で、教科書を準備できず、つらい思いをする子どもや学校に通うことができない子どももいました。

◇権利の目覚めと闘い
1961(昭和36)年、高知県内のとある地区では、厳しい部落差別のために安定した収入の仕事に就くことができず、苦しい生活を強いられていた母親たちがいました。彼女たちは、学校の先生と部落差別問題をはじめとするさまざまな学習を重ねていく中で、日本国憲法第26条の『義務教育は、これを無償とする』という条文に出会います。そこから教科書無償化運動を展開させ、全ての子どもに平等な学びの権利を求めていきました。この運動は、やがて全国に広がり、国を動かします。
その後、1963(昭和38)年、「義務教育諸学校の教科書図書の無償措置に関する法律」が制定され、翌年から段階的に国による無償化が始まりました。
そして、1969(昭和44)年には、全ての小・中学校での無償化が実現しました。

◇みんなの願い
この運動の成果により、みな平等に教科書を手に教育を受けることができます。
教科書無償化の歴史は、部落差別が引き起こした弊害の重みを気づかせるとともに、差別による負の連鎖を断ち切り、共に助けあい行動することの大切さを教えてくれます。
無償の教科書には、子どもたちの学びを保障したいという親たちの熱い思いと、将来を担う子どもたちへの国民全体の願いや期待が込められています。

村民みんなで「ハートがたくさんの村」をつくりましょう。

問合せ:総務課 人権政策係
【電話】0967-67-1111