くらし この冬読書にじっくり浸かる 八火図書館読書のすすめ

最近本を読んだのはいつですか。令和5年に文化庁が行った「国語に関する世論調査」では、約6割の人が「1カ月の間に1冊も本を読まない」、約7割の人が「読書量が減っている」と回答しています。宮原振興局に併設されている八火図書館でも、勉強や仕事に忙しい16歳~29歳までの利用者は特に少なく、最も利用者の多い7歳~12歳の利用者約10分の1の利用にとどまっています。日々を忙しく過ごす私たちにとって、読書というのはハードルの高い行為になっているのかもしれません。
リラックス効果、思考能力の向上など読書にはさまざまな効果があると言われています。寒い日々が続き家で過ごす時間が増える今、改めてじっくり読書時間を堪能しませんか。

■時間を惜しんで逆に損していませんか?
八火図書館 館長 三枝 卓也さん
最近では、たくさんの本が電子書籍化され、利用者も増えています。気軽ですし、持ち運びも便利です。本を読むとデータに基づいて自動で新たな本がお薦めされることもあり、効率の良さも魅力です。ですが、関心のある情報に集約され、それがかえって自分の世界を狭めてしまう可能性もあります。効率が重視される風潮がありますが、時間を惜しんでいるように見えて、逆に損をしているということになっていないか考える必要があるのかもしれません。
その一方図書館では、自分で情報を得に行く必要があります。手間がかかるように思えますが、見えるところにいろいろな本があることで新しい発見がしやすくもあります。図書館は静かな整った環境を誰でも無料で利用することができます。そんな図書館で、新しい世界を自分の手で見つけ、じっくり読んでじっくり考える時間を持ってみるのはいかがでしょうか。

■八火図書館利用案内
▽豊富な文庫本
気軽に読めるからと貸し出しが多い文庫本は、一般書の約2割を占めるほど充実。特に人気なのは時代小説。シリーズものを制覇してみては。

▽新刊が毎月続々
蔵書は約52,000冊。話題の本やシリーズものの続編など毎月の新刊も多数。リクエストにも積極的に応えるようにしているとのこと。

▽見えないところにも
古くなった本は閉架で保管されている。貸し出しはできるため、お目当ての本が見つからないときにはカウンターまで。古い本を無償で譲るリサイクルフェアも年2回開催。

▽読書に集中する
本を読む環境が整えらえた図書館。たくさんの席の中からお気に入りを見つけてじっくり読書する時間を持つのも贅沢。天気がいい日は、テラス席での読書も心地いい。

開館日:平日 10時~18時・土日 10時~17時
木曜日は20時まで開館!仕事帰りにも立ち寄りやすい
休館日:毎週月曜日・祝日・年末年始
貸出:図書5冊(14日間)・雑誌2冊(5日間)
※町内居住または通勤通学している人、八代市・芦北町に居住している人は無料で利用カードを発行します。(発行時は、免許証などで本人確認を行います。)

■読書が苦手なあなたに
本を読みたいけど忙しくて余裕がない、どうやって本を選べばいいかわからない、そもそも文字を読むのが苦手など、読書に対する思いや考えは人それぞれです。そこに正解はなく、自分にあった方法で楽しむことができるというのも読書の魅力です。
今回は八火図書館の司書の2人が、読むことが苦手、最近読書をしていないといった読書へのハードルが少し高めの人に向けて、本選びのコツを教えます。
※紹介しているお薦めの本は、すべて八火図書館で借りることができます。
司書 藤本 ゆかりさん
司書 小野 晶子さん

▽文字を読むのが苦手ならコミックエッセイから
読書といっても、有名な作品や小説を読まなくてはと意気込まなくても大丈夫。コミックエッセイで「読む」ことを始めてみませんか。
左:『疲れた人に夜食を届ける出前店』 中山 有香里/著(KADOKAWA)
右:『ランチの時間』 益田 ミリ/著(講談社)

▽好きな映画やテレビを入口にしてみる
好きな俳優さんが出ていたあの映画、毎週楽しみにしていたあのドラマを原作で読んでみませんか。原作との違いを楽しむのはもちろん、自分でキャスティングを考えてみるのも楽しいですよ。
左:『傲慢と善良』 辻村 深月/著(朝日新聞出版)
右:『宙わたる教室』 伊与原 新/著(文藝春秋)

▽知っている人が書いた本は読みやすい
テレビで見かけるタレントさんなどが書く本が増えています。芸人さんの本も多いですが、おすすめは料理家さんのエッセイ。読みやすいだけでなく、レシピも一緒に楽しめるものもあります。
左:『家族の味』 平野 レミ/著(ポプラ社)
右:『おいしい子育て』 平野 レミ/著(ポプラ社)

▽ときめく表紙から絵本を選んでみる
絵本は子どもだけのものではありません。装丁や絵の細部にまでこだわりのあるものや、泣けるストーリーのものなど大人になって読むからこそもっと楽しめる絵本の世界があります。
左:『パリでいちばんおしゃれなネズミ クラリス うみべのバカンス』
右:『アビゲイル・フィグのスパイ大作戦』
共にミーガン・ヘス/作(化学同人)

▽新たなお気に入りを短編集で見つける
好きな作家さんが見つかると読書の幅がぐっと広がります。数人の作家さんが同じテーマで書いた短編集は出会いのきっかけとしてお薦めです。毎日1篇ずつ読み進めてみてはいかがでしょうか。
左:『いつか、アジアの街角で』 中島 京子ほか/著(文春文庫)
右:『おひとりさま日和』 大崎 梢ほか/著(双葉文庫)

■八火図書館をよく利用する皆さんの 私のおすすめ
▽図書館の穏やかな空間が落ち着きます
井芹 弘子(ひろこ)さん(町)
『ラブカは静かに弓を持つ』 安壇 美緒/著(集英社)
著作権という社会問題を題材にしながら、純粋に音楽の楽しさにのめり込んでいく主人公の心理描写に共感しました。自分で楽器を演奏する人や若い人にもおすすめです。

▽本がいっぱいある図書館が好きです
冨山 天心(てんしん)さん(宮園)
『科学漫画サバイバルシリーズ 山のサバイバル』 洪在徹/文・文情厚/絵(朝日新聞出版)
たくさん読んでいるサバイバルシリーズの中でも、山のサバイバルが面白いです。虎が出てくるところが楽しいです。

■2/8[土] 今年も本まつりを開催します
14時~氷川町公民館多目的ホール
読書感想文の発表や人形劇などを行います。一緒に本を楽しみましょう!
詳細は20ページをご覧ください