文化 MANGA NEWS 学芸員が湯前まんが美術館の旬な情報をお届け

■NEWS1/那須良輔の魅力を伝える 熊本市で生涯学習講座を開きました
11月4日、くまもと県民交流館パレアで生涯学習講座「颯爽健児(さっそうけんじ)~人間・那須良輔の魅力~」を開きました。本講座は県内博物館職員による出張講座「パレアミュージアム」に、当館が参加したもの。「颯爽健児」というタイトルは、那須良輔先生とほぼ同年代に活躍した漫画家、杉浦幸雄先生の那須良輔評から取りました。講座では那須先生の波乱万丈な人生を、本人の回想録や各時代の作品で紹介。生前の那須先生の人柄や作風を人々がどのように捉えていたか、那須先生自身が政治風刺漫画やふるさと湯前町についてどのような思いを抱いていたかを、先生をよく知る皆さんの言葉を頼りにひも解きました。
講座終了後の質疑応答では、参加者から感想が寄せられました。那須先生を初めて知った人からも「同じ熊本の偉人を知り得てよかった」「風刺が効いている漫画が多く、楽しめた」など、那須先生の人柄と作品に関心を持ってもらえました。また「球磨川の源流といえる湯前町を『漫画の源流の町』として周知してはどうか」といった今後の参考となる意見も上がりました。参加いただいた皆さん、ありがとうございました。
湯前まんが美術館では、那須良輔作品の出張展示(出前まんが美術館)・ワークショップ・講演会など、那須先生やまんが全般の魅力を伝えるイベントを行っています。「公民館に複製画を展示したい」「那須先生の人生を講座でくわしく学んでみたい」などありましたら、お気軽にまんが美術館へ問い合わせください。

■NEWS2/最後の舞台は岡山県!これが漫画!展リポート
湯前まんが美術館が事務局となって、全国計4館を巡回する「これが漫画!展日本の漫画を創った時代~楽天・隆一・良輔~」。11月30日、勝央(しょうおう)会場(岡山県勝央町・勝央美術文学館)の閉幕をもって、全日程が終了しました。
同館での開幕初日となった15日は、開幕式典が盛大に行われました。式典終了後は、合志マンガミュージアムの橋本館長と、湯前まんが美術館学芸員の中尾章太郎によるギャラリーツアーを開き、来場者に展示作品を一つ一つていねいに解説しました。
那須良輔先生が逝去されたあと、作品の知名度は下がりつつあると言われてきましたが、今回の巡回展示のように、各地で先生の作品を展示する機会に恵まれ、当館にも『那須良輔』の名を館外のイベントやニュースで知って興味を持ったという人が多く来館します。那須良輔作品への関心が高まっていくことが、風刺漫画という文化の再評価、さらには日本の漫画の歴史全体の見直しにつながると考えています。これからも引き続き、さまざまな形でその魅力を紹介していきます。最後に、ことし「これが漫画!展」の各会場に来ていただいた皆さん、ありがとうございました!

■よりぬきりょうすけギャラリー
ユーモアあふれる那須先生の作品を紹介!

▽『さこん太郎』
※「那須良輔の世界展」で展示中(~翌年1月まで)
「田舎の私のうちの裏の渓流に、さこん太郎があった。これは谷川の水を利用して米を搗く仕掛けのものだ。丸太ん棒の片方に水を受ける箱がつけてあり、片方に杵がついていて、筧の水が落ちて箱一ぱいになると、その重みで箱が下がり、水がザッとこぼれると、杵がストンと落ちる。杵の下には臼に籾がはいっている。ここは森の中の寂しい場所で、夜などとても一人では行けなかった」
那須良輔『絵本歳時記』(1977,146ページ)

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