文化 シリーズ第11号 前略、市史編さん室より

■両親の思い出の地を訪ねて
ある日、市史編さん室に写真アルバムを持った福岡からの来訪者がありました。
「指宿は父と母が新婚で訪れた場所なんです。定年となって両親の足どりを辿る旅をしています。写真の撮影場所がどこか教えてもらえませんか」
アルバムには指宿で撮影した写真が並んでいました。日付は昭和36年3月24日。撮影された場所は池田湖・長崎鼻・砂むし温泉でした。
写真が趣味だったという来訪者の父親、2人の写真、お互いを撮り合った写真が並びます。
宿泊先は指宿観光ホテル(現:指宿いわさきホテル)でした。
※詳しくは本紙をご覧ください。

■観光都市の基盤づくり
指宿観光ホテルは昭和31年に開業。創業者で指宿市の名誉市民である岩崎與八郎(いわさきよはちろう)氏が自身の座骨神経痛が砂むし温泉で治癒したことに驚き、吹上浜で予定していたホテル建設を急きょ指宿に場所を変更したと言われています。
温泉観光都市としての発展を目指していた当時の指宿市にとって新しいホテルの開業はまさに吉報でした。開業とともに観光客がさらに増加、そして昭和34年に熱帯植物が生い茂る温室に浴槽を設けたジャングル浴場がオープンすると大きな反響となり、指宿の名は全国に広まることとなりました。
冒頭の写真が撮影された昭和36年頃は、観光客の増加を受けて海岸沿いではホテル・旅館の建設ラッシュを迎えていました。
※詳しくは本紙をご覧ください。

■新婚旅行ブームと新たな市史の始まり
昭和47年には本格リゾートホテルとして466室を擁する新館(現:指宿いわさきホテル)が完成。昭和51年2月には1日に513組の新婚客が宿泊するという記録も生まれました。
多くの人の記憶に残るこのホテルも、耐震化に伴う建て替え工事のため、6月から休館となります。指宿いわさきホテルの関連部部長藥丸和彦(やくまるかずひこ)さんは「開業以来、70年間のご愛顧に心より感謝申し上げます。休館まで感謝の気持ちを込めて営業を続けてまいります。限られた時間ではありますが、また、ご来館いただけましたら幸いです」と話してくれました。
福岡からのお客様は、「両親の思い出の場所を巡り、気持ちを重ねること。それが私にできる親孝行だと思います」最後にそう話してくれました。
最近では学校跡地の利活用で、食品加工場やクラフトビール醸造所が出来るなど指宿の新たな歴史が始まっています。多くの建物や場所の思い出が積み重なり市史がつくられていると感じる出来事でした。
市史編さん室は、新婚旅行に指宿を訪れた時の写真も探しています。撮影場所が分からない写真も大歓迎です。

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