- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県日置市
- 広報紙名 : 広報ひおき 令和7年11月号(11月14日(金)発行)
施設の老朽化、人口減少により減る税収、高齢化により増える社会保障費
皆さんの身近にある市役所庁舎、学校、体育施設、図書館など、これらはすべて、市民生活に欠かせない公共施設です。私たちはこれらの施設を通じて生活、教育、医療、福祉、交通、防災といったさまざまなサービスを受け、安全で快適な暮らしを送っています。
しかし、市が所有している公共施設の多くが高度経済成長期に集中的に整備されており、『老朽化』という大きな問題に直面しています。老朽化は建物や設備の安全性が低下するだけでなく、維持管理や修繕にかかる費用が増大し、市民サービスにも影響を与える可能性がある大きな問題です。
■日置市の公共施設の現状
日置市は、令和2年度末現在において、施設数で353施設、建物棟数で1,071棟、総延床面積で318,939平方メートルの建物系公共施設を保有しています。(日置市公共施設等総合管理計画)
2025年4月現在、そのうちの約54.7%にあたる193施設が築30年以上経過しており、また、築20~30年未満の施設数も多く、今後、10年間でさらに多くの施設が老朽化のピークを迎えます。

■急激な人口減少社会の到来
日置市(合併前含む)の人口は平成12年の53,387人をピークに年々、減少しており、令和7年10月1日現在では45,720人、令和32年には33,179人と今より12,500人余り減少することが見込まれています。
今後、高齢化率はさらに大きく上昇するとともに、特に15歳から64歳の生産年齢人口は大きく減少し、令和32年には65歳以上の高齢者とほぼ同数となる見込です。

出典:H12年~R2年までは国勢調査、R7年~R32年は国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口
■高騰する多額の更新費用、増加する扶助費
市が所有する建物公共施設を全て更新しようとすると、1年あたりおよそ30億円が必要となる見込です。また、更新をする費用だけでなく、維持管理費用や管理する人件費、光熱水費などの運営経費も必要になります。このまま人口減少、少子高齢化が進むと、税収などの増加が見込めない一方で、市の歳出における扶助費などがますます増加することが予想されます。
施設の更新や運営に充てられる予算の減少が見込まれ、今ある施設をそのまま残すのは難しい状況であり、施設を集約化するなど効率的に活用しなければなりません。
◇扶助費の増加
・平成17年度 約28億5,345万円
・平成25年度 約47億5,157万円
・令和5年度 約77億円
20年間で2.7倍に増加
■公共施設に対する取り組み

日置市では平成28年に公共施設等総合管理計画を策定し、(1)保有総量の縮小による将来更新負担額の軽減、(2)長寿命化の推進によるLCC(ライフサイクルコスト※)の軽減、(3)施設管理の効率化によるコストの削減を基本方針とし、総合的かつ計画的な管理を推進しています。
公共施設の保有面積および維持管理コストを10年間で10%削減することを目標としており、未利用財産については売却による処分を積極的に進めています。売却された公共施設の中には、民間事業者によって新たに生まれ変わっている施設もあり、単に売却するだけではなく、眠っていた公共施設が新たな拠点として有効活用されています。
※LCC(ライフサイクルコスト)とは、建物などが建設されてから解体されるまでの期間にかかる総費用のことです。
■今後の公共施設に対する取り組み
社会情勢の大きな変化に伴い、公共施設に対するニーズの変化への対応が求められる中で、外部委員から構成される検討委員会を設置し、本市の公共施設の在り方や適正配置などについて検討を行う予定です。
また、並行して公共施設に関する市民アンケートや、日置市の現状や将来の人口推移、公共施設に関する情報などを市民の皆さまに開示しながら、日置市の公共施設に関する市民ワークショップも開催する予定ですので、皆さまのご協力をよろしくお願いします。
お問い合わせ先:本庁財政管財課財産活用係
【電話】099-248-9402
