くらし 朗読と音楽がつなぐ子どもたちの未来とふるさとの力
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- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県伊佐市
- 広報紙名 : 広報いさ 2025年7月1日号
伊佐市ふるさと応援大使 榎木孝明
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伊佐市長 橋本欣也
伊佐市の自主文化事業として、8月24日(日)に朗読と音楽のコラボレーション公演「永遠という名の一瞬~僕たちの終わりのない旅がはじまった…~」(朗読/榎木孝明、和胡演奏/里地帰(さとちき))を開催します。この朗読を通じて伝えたい、文化、教育、そして地域への思いを、橋本市長と俳優・榎木孝明さんに、語っていただきました。
●榎木さんは今回の朗読にどのような思いを込めていますか。
(榎木)
私が田舎を出てから、ほぼ半世紀経ちます。機会があるごとに田舎で貢献できることはないか考えてきました。今回、こういう文化事業をふるさとでできることをとても嬉しく思います。
若い人からお年寄りまで、すべての人に聞いてほしい作品です。時代がどう変わっていきつつあるのか、宇宙の壮大な視点から眺めたときの人間のあり方みたいな…。といっても決して難しい内容ではなくて、魂の原点を易しい言葉で読み解きます。言葉が自然に入ってくることがすごく大事だと私は思っています。
●市長はこの朗読を市の自主文化事業として開催するにあたって、どういった点に期待していますか。
(市長)
小学生もですけど、中高生に与える影響っていうのは大きいと思います。今「教育日本一のまち」を掲げていますので、その一環の事業としても今回期待しています。
都会の生徒が田舎の高校を受験して、3年間留学できるということを、伊佐市でも取り組もうということで、今準備を進めています。
●市長としてもこういう文化に触れる機会を使って、少しでも、教育につながっていくような形になればいいなということですけど、それに対しての榎木さんの思いをお聞かせください。
(榎木)
私がずっとこうやって絵を描き続けられるのも、自分の原風景、つまり、伊佐の自然なんですよね。生まれ育った自分の郷里に全部結びつけて考えられることが私の誇りです。その気持ちを大事にしつつ、何か伝えたいと思っています。
(市長)
本当、そこなんですよね。結局ふるさとにプライドと愛着を持つことで、将来、地域のためにっていう気持ちが出てくると思うんです。
(榎木)
この公演を通して、自分がなぜこの時代に存在してるのかを考えるきっかけになればと思います。日本人である前に一人の地球人という意識を持つことは大事だと思います。
世界中がそういう一つの意識にならない以上、戦争はなくならないと思うんです。そういう過渡期が今だと思うので、今回はこういうテーマにしました。
●今回の公演は朗読と音楽のコラボレーションということで、朗読とともに和胡の演奏があります。
(榎木)
和胡は、里地帰さんという演奏家が作った新しい楽器なんですよ。形は二胡と同じなんですけど、もっと日本的なやわらかい音質なんです。
●文化的なところで、伊佐市での取組状況をどのように感じられますか。
(榎木)
市長の話から、教育にも力を入れていらっしゃることが分かって、正直ちょっとほっとしました。地方都市で児童・生徒をどう育てるかということは、今後も真剣に考える必要があると思います。全国に高校生の募集をかけるとか、それは素敵なアイデアだと思いますし、それによって伊佐市もアピールできると思います。
●最後に、今回の朗読を通して、市民や子どもたちに一番伝えたいことはなんでしょうか。
(榎木)
まずは、自分たちがいかに素晴らしいところにいるかを自覚してほしいです。それはゆくゆく、その人の人格形成も含めて、とても大事な要素になると思います。
また、今回のこの朗読で、〝聴いて想像力を膨らませる〟ことの大切さを知って欲しいと思います。人間には、やはり想像力があるからこそ、文明が発展していくのですから。
この朗読を通じて、自分の感性を自分自身で確かめてほしいです。ぜひ、児童・生徒さんにもたくさん来ていただきたいと思います。
(市長)
私が同感したのは、地元にプライドを持ってほしいということです。今の高校生はいろんな形でいろんな夢も広がっています。まずは頑張っていらっしゃる地元出身の先輩の姿を見ていただきたいです。
また、地域活性化については、文化を充実させて教育につなげることも大切だと思います。
保護者の教育があって子どもは育っていくわけです。児童・生徒だけでなく保護者たちも今回の公演を通じて、地元への誇りとこの時代に生きる意味を感じてほしいです。
※公演and榎木孝明トークショーの詳細については、広報紙や市ホームページ等でお知らせします。
◆Profile 榎木 孝明(えのき たかあき)
武蔵野美術大学デザイン科に学んだのち、劇団四季に入団。1981年『オンディーヌ』で初主演。1983年劇団四季を退団。
1984年NHK朝の連続テレビ小説『ロマンス』の主演でデビュー。
以後、映画『天と地と』、テレビ『浅見光彦シリーズ』、『NHK大河ドラマ』、舞台など多方面で活躍。旅を好み世界の風景を描く水彩画家。自身のギャラリーが鹿児島県伊佐市と東京都代々木上原にある。画文集、エッセイ集25冊を出版。
菱刈出身で伊佐市ふるさと応援大使を務める。