くらし 【特集】みなとのはなし(1)

古くから東アジアや東南アジアの国々との貿易により栄えてきた琉球。「舟楫(しゅうしゅう)をもって万国の津梁となす」の銘文は、舟を通わせて世界中の架け橋とするという意味で、人々の勇ましく積極的な様子と海洋国家としての気概が表現され、みなとには船や物や人が行き交いました。
現在、なはのみなとは多くの機能を持ち、国内外のみならず宮古、八重山、周辺離島とを結ぶ社会経済活動や私たちの生活を支える基盤である一方で、その地理的優位性により多くの可能性を秘めています。周辺には、約20億人の巨大マーケットが広がっており、沖縄の経済・産業をダイナミックに発展させることが可能な環境が整いつつあります。集貨や創貨といった取扱貨物の増大に向け、アジアの中継拠点港を目指し取組を進める、みなとの様子をお届けします。

■みなとの機能
令和5年の県内港湾の公共貨物量のうち、那覇港が占めるのは内国貿易において約7割、外国貿易において約8割です。
物流の課題として、船舶の大型化や取扱い貨物量の増加に伴い、岸壁延長の不足、ふ頭きょうあい狭隘化が生じています。また、沖縄からの外国への輸出、国内への移出が少なく、片荷輸送となっているため輸送コストが高くなっていることがあります。混載輸出も可能であることから輸出貨物の掘り起こしや、さらなる航路開拓や延伸が望まれます。
物流センターの中には、ドライ倉庫、冷凍冷蔵倉庫、急速凍結庫、超低温庫、恒温恒湿庫が備えられ、海外や県外からの様々な物資に対応、安定供給や長期保存が可能です。
コロナ禍により減少したクルーズ船の寄港も回復してきており、2024年は175回の寄港がありました。また、那覇港のサンゴ礁などがCO2を吸収するため、地球温暖化対策になりうる可能性があり、注目されています。

◇こんな現場にも!
合同訓練・総合訓練を行うほか
・旅客船での火災を想定した救難訓練
・大規模災害発生時の訓練
・ドクターヘリの着陸
・水中での不発弾処理
も行われています

沖縄は、物流の約99%を海上輸送に依存しており、日々多くの船が行き交うみなとは、文字通り私たちの生活を支える生命線です。臨海部には、到着した貨物を保管する倉庫、それを県内各地に届ける運送、また到着した原料を加工し県外へと移出する工場などの施設といった物流機能のほかに、税関や出入国管理、検疫機能があり、海の’警察’であり’消防’である海上保安庁などが安全を確保しています。那覇港エリアは、那覇ふ頭地区、泊ふ頭地区、新港ふ頭地区、浦添ふ頭地区の4つで構成されており、漁港や旅客ターミナル、ビーチ、公園、緑地、卸売市場などが存在しています。

(1)第2クルーズバース
2023年供用開始。23万トン級のクルーズ船の寄港も可能で、今後ターミナルビルが整備される予定です。

(2)那覇クルーズターミナル
四方を海に囲まれた桟橋構造の海上建築。

(3)総合物流センター
2019年5月開業の総合物流施設。国内外の貨物を取り扱っており、小分け・検品・仕分け・梱包といった流通加工や、保管、検査などを行っています。

(4)那覇ふ頭船客待合所
鹿児島航路のフェリーが出ています。

(5)三重城ふるさと海岸
ロワジールホテル那覇の横から入ることができます。遊歩道もあり、波の上うみそら公園、波の上ビーチへと散策できます。

(6)三重城小船溜
多くの船が停泊し、パラセーリングやシュノーケリング・ダイビングのほか冬場にはホエールウォッチングの船も出港します。

(7)とまりん/泊港
周辺離島航路の拠点で、旅客ターミナルと8つの周辺離島と本島を結ぶ定期フェリーや高速船、観光遊覧船が走っています。

(8)えんがん漁協
普段はセリが行われている市場ですが、えんがん朝市では、セリや魚捌き、釣り体験などができることも!

(9)波の上うみそら公園
95種類のサンゴや多様な生物が生息し、シュノーケリングやダイビング、バナナボートやSUP、BBQができます。用具の貸し出しも行っています。

(10)泊漁港
沖縄県内87漁港の中でも水揚げ量が最も多い漁港で、特にマグロに関しては県内の約半数がここで水揚げされています。

(11)泊いゆまち
色とりどりの鮮魚や海鮮などが並ぶ鮮魚市場。23店舗。

(12)なはまぐろ市場
2023年11月にオープンした施設で、マグロを中心にした7店舗の鮮魚店が並んでいます。

(13)若狭海浜公園
5月~10月、月末の金曜日に映画を上映する”うみそら上映会”を開催しています。

(14)波の上ビーチ
若狭側ビーチ、辻側ビーチがあります!

(15)国際コンテナターミナル
国内外の貨物船が寄港し国際的な貨物を取り扱い「保税地域」となる特別な場所です。ガントリークレーンによりコンテナ貨物の積み下ろしを行っています。

(16)那覇エコ
アイランド一般廃棄物海面最終処理場。
ごみ処理施設。

(17)御物城跡(おものぐすくあと)
琉球王国時代は湾に浮かぶ小島で、公倉として交易で得た物が保管されていました。

(18)三重城(みえぐすく)跡地
琉球王国時代は海の玄関口の守衛的な役割を担っていました。

※詳しくは本紙をご確認ください。