健康 公立久米島病院だより

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◆眠れない夜を眠れる夜に ~不眠についてできること~
東京ベイ浦安市川医療センター 総合内科 中平 皓太
日頃より当院の診療にご理解とご協力くださりありがとうございます。4月より赴任しました内科の中平です。同じ協会の東京ベイ・浦安市川医療センター総合内科の所属ですが、昨年度に引き続き久米島で診療のお手伝いをさせていただいています。
さて、皆様は眠れていますか?私たちは患者様から「眠れません」というご相談に遭遇します。睡眠薬があればすぐ眠れると思うかもしれませんが、そこをグッとおさえて不眠について一度お勉強してみましょう。
そもそも不眠=不眠症ではありません。不眠症とは夜間の不眠に加えて、日中に眠気をきたしていないか、生活に支障を来たす状態ではじめて診断します。一旦不眠症と診断しても、まずは眠れない原因がないかを探ることが重要です。例えば、睡眠時無呼吸症候群は不眠の主な原因にもなります。また毎日の深酒や就寝前の喫煙やカフェインなど「寝る前の一服」が睡眠の質の妨げになってしまいます。まずは心身の健康と良質な睡眠のために「至福のひと時」をやめてみる、もしくは時間をずらすなど工夫をしてみましょう。
特にご高齢の方は若年者と比べて、必要な睡眠時間は短くなり、20歳代と比べて65歳では1時間も必要な睡眠時間が少ないです。無理に長い時間を睡眠にあてようとすると睡眠の質が浅くなります。睡眠と覚醒のメリハリをつけるためにも、日中は適度な運動をぜひ心がけてみてください。
また不眠の症状に加えて、物事への関心がなかったり、心身の回復がなかったり、気持ちが重たいと感じたらうつ病の可能性もありますのでご相談ください。
それらの生活習慣を見直してもなお、不眠でお困りの時に睡眠薬の導入を検討します。睡眠薬には睡眠導入剤に加えて、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬や向精神薬など精神科で使用する薬も含まれます。特にベンゾジアゼピン系はついついお薬に頼ってしまい通常の使用量を超えて内服されてしまう可能性もあります。まずは第1選択薬からはじめて効果が乏しい場合には十分な量まで増やしていきますので、外来でご相談ください。最後に厚生労働省から発表されている「健康づくりのための睡眠指針2014」をぜひご参照ください。皆様にとってお薬だけに頼らない良い睡眠習慣のお手伝いになれば幸いです。

◆子どもとメディア
公立久米島病院 小児科 渡邉 幸
動画やゲームアプリは子どもの知的好奇心を刺激し、知識を広げるきっかけになります。一方で、「一度見出すとやめらない」「スマホを持たせると返さない」など、付き合い方に悩まれる親御さんも多いと思います。今回は、メディアの特徴と付き合い方についてお話ししたいと思います。
(1)操作性の高さ=「はまりやすさ」
子どもは「自分の行動がまわりに影響を与えること」に快感を覚えます。これは「自己効力感」と呼ばれ、発達にとって大切な感覚です。スマホやタブレットでは、画面をタップするたびに動画が切り替わったり、反応がすぐに返ってくる(操作性が高い)ため、夢中になりやすい傾向があります。
(2)「選ぶ快感」がドーパミンを刺激
子どもが自分で動画を「選んで」見るとき、脳内ではドーパミンという快感物質が分泌されます。これは「報酬系」と呼ばれる脳の仕組みで、楽しいことを繰り返したくなる働きを持っています。
特にショート動画はテンポが速く、ドーパミンが出やすいため、依存を引き起こす可能性があります。
(3)止めるのが難しいのは当然
小さい子どもは特に「自分をコントロールする力(自己制御力)」が未発達なため、「そろそろやめようね」と言われてもすぐには切り替えられません。小さい子ほど区切りがつけやすいものを選ぶことが大切です。

◇年齢別メディアルールのおすすめ
・2歳未満…基本的に動画は見せないか、なるべく親と一緒に見る
・2歳~4歳…なるべく操作性が低いもの(テレビ、DVD等)を見せる
・5歳~小学生…親子でルール(時間、場所)を設定する、タブレット学習も活用
・中学生~…「生活に支障きたさない」ことを条件として、自己管理に移行していく

スマホや動画も、使い方次第で学びのきっかけや親子の会話のタネになります。
まずは大人が「どう使っているか」「どんな姿を見せているか」を振り返ってみましょう。そして、子どもと一緒に、家庭に合ったルールや使い方を話し合ってみましょう!