- 発行日 :
- 自治体名 : 総務省
- 広報紙名 : 現在・未来のくらしに役立つ情報誌 総務省 令和7年12月号
本年は、わが国の選挙史において大きな節目の年です。第1回衆議院議員総選挙が執行され、国民が初めて国政に参加するようになってから135年、満25歳以上の男子による普通選挙が確立されてから100年、そして女性が選挙権を得るようになってから80年という、記念すべき年に当たります。また、選挙権年齢が満18歳以上に引下げられてから10年に当たる年でもあります。
選挙権は、主権者である国民の基本的権利であり、選挙は民主政治の根幹を支えるものです。国民一人一人が責任と自覚を持って自由に政治に参加し、選挙権を確実に行使することが、日本の民主主義をさらに発展さ
せる原動力となります。
今年7月に行われた参議院議員通常選挙では、投票率が58.51%と、前回を6.46ポイント上回りましたが、投票率は全般的に低下傾向が続いています。
私たちの選挙権は、長い歴史の中で、多くの先人たちの努力によって手に入れてきたものだということを心にとどめ、改めて国民参政の意義や選挙の大切さを再確認していただければ幸いです。
○これまでの選挙制度の歴史を年表で振り返ってみよう
【選挙制度の主な沿革】

■選挙の始まり 初の国政選挙 明治23(1890)年
明治7(1874)年、藩閥政治に対する不満から、板垣退助ら8名は、国民が選んだ議員で政治を進めるべきという「民撰議院設立建白書」を政府に提出しました。以後、国会開設を求める運動が盛んになり、それを受けた明治政府は、明治14(1881) 年に「国会開設之勅諭」を発し、10年後に国会を開くことを約束しました。
そして明治22(1889)年2月11日に大日本帝国憲法と同日に衆議院議員選挙法が公布され、明治23(1890)年7月1日、第1回衆議院議員総選挙が執行されました。
しかし、この選挙の有権者は、直接国税15円以上を納める満25歳以上の男子に制限されており、有権者数は約45万人で全人口のわずか約1.1%に過ぎませんでした。
以後、選挙権の拡大を求める声の高まりにより、2回にわたり選挙法が改正され、有権者の数は次第に増えていきました。

■男子普通選挙の実現 大正14(1925)年
普通選挙を求めるいわゆる普選運動は、明治中期以降続けられ、また、議会においても明治35年以来、男子普通選挙を求める法案が度々提出されましたが、いずれも成立しませんでした。
第一次世界大戦後、大正デモクラシーの気運の高まりのなかで、大正14(1925)年3月29日に普通選挙法が成立し、5月5日に公布されました。
これは最初の法案提出から15回目で23年目の成果でした。

■女性の参政権獲得、完全普通選挙の実現 昭和20(1945)年
婦人参政権を求める声は明治初頭からありましたが、女性は法律で政党に加入したり政治集会に参加することが禁止されていました。
明治末から誕生し始めた婦人団体は、参政権獲得を訴えてきました。
第二次世界大戦後の昭和20(1945)年12月17 日、衆議院議員選挙法が改正され、女性も男性と同じ条件で選挙権、被選挙権を持つことになり、ここに今日の男女平等の普通選挙制度に到達し、新しい時代の息吹の中で完全な国民主権の議会制民主主義が誕生しました。
また、選挙権の年齢要件は満25歳から20歳に、被選挙権の年齢要件も満30歳から満25歳に引下げられました。

