- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道岩見沢市
- 広報紙名 : 広報いわみざわ 2025年5月号
「あそこは昔、お菓子屋さんがあったよね」「あの会社に頼めばすぐに直してくれた」「あのお店の味をこどもにも味わってほしかった」など、昔あったお店やいつもお世話になっていた職人さんを懐かしむことはありませんか。
もしかしたら、事業を後継者に引き継ぐ〝事業承継〟が円滑に行われていたら、今もそのお店があったかもしれません。
後継者には親族だけでなく、従業員や創業を目指す方もなることができます。
今月は、魅力あふれる地域のお店を昔話にせず、技術やサービスを次世代につなぐため〝事業承継〟を考えます。
■事業承継に関する状況
空知信用金庫が南空知の事業所を中心にアンケートを行った結果、約7割の事業所で、後継者について〝まだ決まっていない〟〝まだ考えていない〟などと回答し、事業承継の準備が進んでいない状況が分かりました。
■事業承継の専門家に話を聞きました
北海道事業承継・引継ぎ支援センター
承継コーディネーター 糀屋剛(こうじやたけし)さん
○事業承継には3年から10年
もし経営者が「体調面が不安になってきたから、すぐにでも引き継ぎたい」と考えても、事業承継はすぐにできるものではありません。
帝国データバンクによる事業承継に関する企業の意識調査によると、後継者への移行にかかる期間の回答で、3年以上が51・9パーセント、10年以上が11・2パーセントとなっており、事業承継には長い期間が必要であることが分かります。
○ポイントは後継候補者とのコミュニケーション
事業承継を進める上で最も重要なポイントは、経営者と後継候補者のコミュニケーションです。
親子や親族、長年一緒に働いてきた仲間など、近い関係にあるほど面と向かって事業承継に関して話しにくい傾向があります。そのような場合は、中立的な機関である当センターなどが話し合いに同席することで、聞きづらい、言いづらいことをフォローしながら、話を進めることができます。
○まずは相談を
後継者が若いほど、販路開拓や新分野進出など、新たな取り組みにチャレンジし、売上を伸ばしている傾向があります。
事業承継には長い期間が必要なため、早期に準備を始めることが何よりも大切です。どんな準備をすればよいか分からない、どのように話を切り出そうか迷っている場合などは、早めに相談してください。
事業承継の準備の際は、経営状況や経営課題などの見える化を行います。事業承継は自社の現状を改めて考える機会になり、経営改善にもつながります。当センターと一緒に事業承継を考えてみませんか。