- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道倶知安町
- 広報紙名 : 広報くっちゃん 令和7(2025)年6月号
■身近な自然を楽しみ人生に豊かさを
ニセコネイチャーガイドフォレストレック代表 矢吹全(やぶきぜん)さん
生活と自然の距離感が近いことがこの町の魅力の一つであると語るのは、ネイチャーガイドとして活躍する矢吹全さん。幼少期に父と年一回登山をする中で、自然に身を置くことが好きになっていった。
学生時代、音楽に打ち込んだ彼は大学卒業後、昔から変わらない趣味であった登山やスキーを楽しみながら長野県の北アルプスにある山小屋で働き、ニセコエリアには身近な自然があることと自然が好きな人が集まる話を耳にしたという。その後、いろいろな場所を見て回りたいと自転車で日本全国を巡る旅をする中で、実際に訪れた倶知安の自然や人に魅力を感じて移住を決めた。
「自然に囲まれているこの町に心を引かれました。また、自然が好きで専門的な知識を持つ人たちの多くが、ガイドなど自然に関わる仕事をしており、好きなことを仕事にしている姿に憧れました」
移住から約10年後、自身で立ち上げたニセコネイチャーガイドフォレストレックでは、ツアーを通して『体力や経験・年齢を問わず、足元にある自然を楽しめることを共有できる』ようなガイドを目標に活動している。お客さんが自身のペースで自然と向き合い散策ができるよう、お客さんは個人のみが対象だ。
「私は休みの日も趣味で自然の中を歩きますが、自然は毎日違う顔を見せます。自然を楽しめるかは人それぞれの捉え方次第だと考えていて、見慣れている雑草や花に目を配ることで、いつも訪れる公園でも自然の面白さが見つかると思います。その面白さとそこに気付くことの難しさを伝えられるよう、日々勉強の毎日です」
矢吹さんは、変化が大きいこの町で20年以上にわたり、毎日この地域の植物や鳥類のデータ収集を行っている。また、私たちが自然に目を向けるきっかけづくりとして倶知安風土館のイベントや百年の森ファンクラブの講座に参加をしている。
「自然には人が手を加えても問題がないところと手を加えることで壊れてしまうところがあります。見分けるためには、しっかり現在の状態を把握しておくことが大切です。生活の中に当たり前に自然がある町だからこそ、自然が壊れていくことに気付きにくい環境になっていると思います。一度壊れたものは元には戻せないため、地道に集めた植物や鳥類のデータは倶知安風土館と共有しています。データ収集はこれからも継続し、知識や歴史を多くの方に伝えていくことで、この町の魅力あふれる自然に還元していきたいです」
※まち ひと しごとは不定期連載です