文化 栗山の知られざる歴史、今ここに蘇る 町史の隠れ家

町史資料調査室・研究員/青木隆夫

◆No.30 北の錦記念館「炭光鶴(たんこうつる)」の帆前掛(ほまえかけ)
新年のお屠蘇(とそ)がわりに、今年もこのコラムをお届けいたします。
年始めに酒は欠かせないもの。実は以前から気になっていた酒がありました。北海道炭礦汽船(たんこうきせん)(北炭)の炭鉱で飲まれていた清酒「炭光鶴」がそれです。
今は名前だけが残るのですが戦前、小林酒造の炭鉱向けのPB(プライベート・ブランド)の清酒が炭光鶴でした。炭鉱の「鉱」を「光」に変え、「鶴」を入れて銘柄としたもので、名称は北炭の社内報で募集したと聞きました。炭鉱の分配所(直営売店)向けだったようで、残念ながら詳しいところは不明です。
石炭産業の最盛期、空知地域の炭鉱だけでも9万人近い労働者が石炭の採掘に励み、それを癒した酒でした。
今は小林酒造の北の錦記念館に展示されている「炭光鶴」と染め抜かれた帆前掛け、広告用のスタンプだけが名残です。帆前掛けには優良清酒「炭光鶴」の銘柄と、開拓使からの歴史ある北炭の星の社章が染め抜かれています。
昨年の暮れ、日本酒など日本の「伝統的酒造り」が、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。
今年もよろしくお付き合いください。

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