くらし 月形花図鑑(8)

こんにちは。月形町地域おこし協力隊の石原絢子です。
こちらのコーナーでは、月形町で生産されているお花を詳しくご紹介しています。
今回は「菊」について掘り下げてみます。
菊は月形町で花き生産が始まったときに最初に生産されたお花です。詳しい方も多いと思いますが、私なりの視点で掘り下げてみようと思います。
ご存じの通り、菊の花は古くから日本の文化に深く根ざしてきました。平安時代に中国から伝わり、その美しさから天皇家の紋章にも使われました。また、薬としても重宝され、菊酒や菊茶として、人々の健康を支えてきました。ただ美しいだけではなく、人々の暮らしに寄り添ってきた花なのです。
毎年9月9日には重陽(ちょうよう)の節句を迎えます。これは別名「菊の節句」とも言われています。この前日に菊酒や菊の着せ綿(※)をして、健康や長寿を祈る風習もありますね。
日本には、奈良時代末期から平安時代にかけて、薬草や観賞用として、中国から伝わったと言われています。当時は貴族など、ごく一部の人々の間で愛されていましたが、江戸時代になると庶民の間でも栽培が広まり、多様な品種改良が行われていきました。
現在、日本で見られる菊の多くは、この長い歴史の中で独自に発展したものです。
「菊」の語源は何でしょう?
調べてみると語源と考えられる説が2つありました。
(1)菊は元々、中国で「kuk(クク)」と発音されていました。この発音が、日本に伝わる過程で変化して、現在の「キク」になったと言われる説。
(2)菊は秋から冬にかけて咲く、一年で最後の花とされてきました。「物事が終わる」「窮まる(きわまる)」や「最終」といった意味があり、この「窮まる」という言葉が訛って「キク」になったとする説。
また、漢字の「菊」は、元々「散らばった米を集める」という意味を持つとされています。菊の花弁が、まるで米粒が集まったように見えることから、この漢字が当てられたという説があります。
面白いですね!米どころである月形町で最初に生産された花が、こんな成り立ちをもつ「菊」だったなんて!
私は菊の花言葉も好きで、お祝いや生け込みにも華やかな洋菊を使うことがあります。
主な花言葉は、高貴、高尚、高潔で、皇室の紋章に用いられていることや、かつて貴族に重用され、不老長寿の象徴とされた歴史に由来しているそうです。
菊の旬はこれからの秋から冬にかけてです。今年も肌寒い季節を迎えますが、改めて、自然と共生してきた日本の美しい文化に思いをはせます。
菊一輪に込められた歴史と美意識を心に留めながら、秋の深まりを静かに味わってみてはいかがでしょうか。
(※)菊の花に真綿を被せて香りとつゆを移し、翌朝にその綿で体を拭いて健康と長寿を願うもの