- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道浦臼町
- 広報紙名 : 広報うらうす 令和7年9月号(No.732)
■9月10日~9月16日は、「自殺予防週間」です
今回は、浦臼町こころの健康づくり事業に携わっていただいている精神科医師の佐々木竜二氏のコラムを掲載いたします。先生のコラムを読んでほっと一息、こころを休めてみませんか。
“生きる”を支える眠りの力 ~元気な毎日のために~
ストレスケアすすきのクリニック 院長 佐々木竜二医師
「夜中に何度も目が覚める」「朝早く目が覚めてしまう」「布団に入ってもなかなか寝つけない」̶̶年齢を重ねるにつれて、眠りに関する悩みを感じる人は少なくありません。この町でも、多くの方が「眠れない」「眠りが浅い」と感じておられます。
実は、加齢によって眠りの質やリズムが変わるのは自然なことです。若い頃のようにぐっすり眠れなくても、日中元気に過ごせていれば、あまり心配はいりません。ただし、「寝ても疲れが取れない」「何日も眠れず気分が落ち込む」ような場合は、心と体からのSOSかもしれません。
睡眠と心の健康は密接につながっています。よく眠れた日は気持ちが前向きになり、体の調子も整いやすくなります。一方で、慢性的な不眠が続くと、気力がなくなったり、落ち込みや不安を感じやすくなったりします。それが長引くと、うつ状態へとつながることもあるのです。
こうしたつらさを和らげる手段として、睡眠薬が処方されることがあります。実際に、町でも多くの高齢者の方が、睡眠薬を服用されています。薬に頼ること自体は決して悪いことではありません。眠れない日々が続いて心身がすり減ってしまうより、必要なときに適切な方法で眠ることは、とても大切なことです。
ただし、注意も必要です。睡眠薬を長期間使い続けることで、だんだん効きが悪くなったり、昼間にぼんやりしたり、ふらついて転倒の原因になることもあります。高齢の方では、物忘れや意欲の低下といった影響も出やすいため、「眠れないから」と自己判断で薬を増やすのは避け、定期的に医師に相談するようにしましょう。
また、薬だけに頼らず、生活習慣を見直すことで眠りが改善することもあります。たとえば、朝はなるべく太陽の光を浴びて体内時計を整える、昼間に体を適度に動かす、午後の昼寝は30分以内にする、夕方以降はゆったり過ごすなど、日々のちょっとした工夫が眠りの質に影響します。夜遅くまでテレビやスマホを見ていると脳が休まらず、寝つきが悪くなることもあります。
「年のせいだから仕方ない」と我慢せず、「なんだか最近変だな」と感じたら、早めにかかりつけのお医者さんや保健師に相談してみてください。家族や身近な人と話すことも、心の負担を軽くしてくれます。
睡眠は、薬と同じくらい大切な「自然のくすり」です。心と体の元気を保つために、自分の眠りに目を向けてみませんか。無理せず、がんばりすぎず、安心して眠れる毎日を過ごすことが、健やかに生きる力を支えてくれます。
○相談窓口
身近な方に相談しにくいときなど、名前を知られずに電話やSNSで相談できるところがあります。平日の日中であれば、保健センターの保健師がお話を聞くこともできますので、ご利用ください。
問合せ:福祉課保健指導係(保健センター)
【電話】0125-69-2100