くらし 躍動する羽根

躍動とは「いきいき活動すること」、羽根は「町民一人一人」を表現しています。
「羽根が集まれば大きな翼となり、立派な鷹として大空へ羽ばたく」
翼は「町民」、鷹は「鷹栖町」、町民の皆さんの活躍が大きな力となり、大空を飛ぶ鷹のように、鷹栖町の魅力が広く伝わってほしい、という思いが込められています。

■句集「酔ふて 候ふ」
酒の記憶を辿り、何を想い詠ったのか
中村公憲(きみのり)さん
句集「酔ふて 候ふ」を出版した中村公憲さん。
ペンネーム(俳号)を自身の名前の「公」の字と生まれの季節が「春」であることから「公春(こうしゅん)」の名を句会の先輩からいただく。
なぜ中村さんが俳句の世界に足を踏み入れることとなったのか。なぜ句集を出版することになったのか。その想いや経緯について話を聞きました。

今回は、10月に販売を開始した句集「酔ふて 候ふ」の著者、北野地区在住の中村公憲さんをご紹介します。
中村さんは旭川で生まれ、20歳で建設関係の会社に就職。勤務先は東北6県を中心とし、38年間の現場暮らしを経て58歳で早期退職。鷹栖町に住む両親の介護をするため、妻の國子さんとともに鷹栖町に移住しました。平成23年から令和元年の約8年間、鷹栖町議会議員としても活躍されました。

▽なぜ俳句を?
「長いこと現場暮らしでしたので、俳句とは縁のない生活でした。ある日、妻と俳句のテレビ番組を見ていたのですが、自分にも作れるのではと思い、夫婦で仙台文学館主催の『ことばの祭典』という俳句を考える催しに参加しました。当時、季語も知らぬ素人でしたが、私の作品が俳句の部で佳作に選んでもらえまして、この時『才能があるのでは』と勘違いしてしまったのですね。鷹栖に来てから町の句会『草笛吟社』に入会し、大先輩たちから俳句を学ぶようになり、俳句の世界に足を踏み入れました。」

▽出版のきっかけは?
「句は思いつけば書くので溜まっていきます。それがもったいないと感じ、記録として一冊の本にしてみようと思ったのが始まりです。この時にできたのが自身一冊目の句集『菊の酒』です。ある時、文芸社が俳句を募集していたので、菊の酒から『酒に関する句』だけを選んで応募してみました。特に連絡も無かったので私も忘れていたのですが、半年後に文芸社から『句集を出版してみませんか?』と一本の電話がありました。普通の男の俳句が全国の書店に並ぶなんて一生に一度もないことですし、俳句を詠う者として、自分の作品を手に取ってくれるほど嬉しいことはないと思い、挑戦することを決めました。そして完成したのが『酔ふて 候ふ』です。」

▽「酔ふて 候ふ」の想い
「この句集に集録されている句は、全て私が経験した酒に関するものです。会社員時代の体験や愛する妻との日常、両親との思い出などの場面を切り取った俳句です。仕事柄、酒を飲むことが多かった私ですが、父からは社会人として、男としての酒作法を学びましたし、妻との出会いも酒の場でした。酒を飲むことは、好きな父親との繋がりを感じるものであり、妻との日常的な幸せを思い出させてくれるものです。辛く大変だったこともありますが、この句集では、私の愛した人たちとの思い出が詰まった、そんな一冊となっています。」

▽最後に
「今から言うことは私の独り言だと思ってください。当たり前である時間は永遠ではありません。身近な存在を大切に、ともに過ごしてくれる時間に少しでも感謝してあげてください。私も多くの人に支えられて今があります。それと、この句集が誰かの支えの一部になることがあれば嬉しいです。皆さん、お時間あれば句集『酔ふて 候ふ』を一度手に取ってみてください。」