くらし 花のまち随想

東神楽町長 山本進

4月になり、新年度もスタートしました。春の日差しも日ごとに暖かさを増し、新一年生たちも元気に登校しています。複合施設はなのわの前のフラワーガーデンも昨年秋に植えた球根から花々が芽吹き、美しく彩っています。季節とともに表情を変えるガーデンをぜひ訪れていただきたいと思います。
また、4月上旬には春の交通安全運動も行われました。この時期は、新入生をはじめとする小学生や幼児、高齢者が交通事故にあうことも多くなる時期です。ドライバーの皆さんは歩行者や自転車に十分注意するとともに、歩行者の方も無理な道路横断や飛び出しをせず、事故にあわないようにしてください。
東神楽町では現在、交通事故死ゼロ3000日を超え、令和9年(2027年)7月14日を目標とする交通事故死ゼロ4000日を目標に、交通安全運動を続けています。町民の皆さまの引き続きのご協力をお願いします。
さて、世界に目を向けると他者を信じられない、信頼できないという「不信」の空気が広がっているように感じます。ウクライナやガザ地区をはじめ、世界中で武力を伴う紛争が続けられ、多くの尊い命が失われ続けています。日本では直接的な武力行使はないものの、特殊詐欺はいまだに多くの被害が発生し、新聞紙上でも常に被害情報が掲載されるなど、信頼を裏切るような事件が日常になりつつあることに危機感を覚えます。こうした時代だからこそ、家族や隣近所など、普段生活しているなかで、相互に信頼できる関係があるかというのはとても重要なことです。そもそも人類は、ホモ・サピエンスとして進化を始めた時から、体格や筋力などが他の生物よりも比較的弱い中でも、言語を発達させ、相互に信頼することで、他の生物を凌駕し、繁栄をしてきました。宗教や貨幣など、多くの他者との信頼がなければ成り立たないシステムも成立させ、今では地球温暖化など、地球全体にも多くの影響を及ぼす存在になっています。
今月13日から大阪・関西万博が開催されています。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、本町出身の藤本壮介氏が設計した世界最大の木造建築物「大屋根リング」や各国のパビリオンに世界中から多くの方が訪れる予定です。異なる文化や価値観を持つ人びとが他者への信頼を基盤に集い、交流し、それぞれを尊重しながら平和な未来を希求できるような機会であることを期待するとともに、決して楽観はしていませんが、「明るい未来」への足掛かりとなるように期待しています。