スポーツ マチの宝物

◆スライダー一閃 未来のストライクゾーンへ
プロフィール:樽井新太(たるいあらた)さん
2011年生まれ 14歳
東神楽中3年・ピッチャー

8月17日、東京ドームで行われた「第19回全日本中学野球選手権大会ジャイアンツカップ」の決勝の舞台に立った旭川大雪ボーイズのエース樽井新太さん。
相手は強豪・世田谷西リトルシニア。巨人―阪神戦の後に始まった一戦で、東神楽から駆けつけた家族や仲間、そしてプロ戦から残った観客を前に、背番号1がゆっくりとマウンドへ向かいます。
「全部が初めての感覚で、相手の応援もすごくて。最初は緊張しました」。それでも2回を終えるころには心拍が落ち着き「どんな状況でも冷静にマウンドに立てるのが自分の強み」と顔がほころびます。準決勝までの接戦を仲間と支え合って乗り越え、決勝では「絶対に抑えてやろう」と覚悟を固め3回を無失点に抑えました。
普段の練習は花咲の河川敷のグラウンド。平日は2時間、土日は6時間、冬は室内で走り込みと基礎づくり。「辛いメニューもあるけれど、野球は楽しい」と表情を緩めます。試合前には一投目の前に声を掛け合い「打たれたら頼むよ」と互いに背中を押す。樽井さんが一番大切にするのは“人間性”。相手が嫌がる言葉は口にしない、いつでも冷静でいる――そんな姿勢が、チームの土台になっています。
持ち球は縦に鋭く落ちるスライダー。直球の最速は135キロ。「ストレートへの反応を見て、もう1球続けるか、逆を突くかを決めます」。
キャッチャーの選手とは普段からよく遊び、よく話し、試合では目線一つで意思が通う関係です。
ジャイアンツカップ決勝の結果は0-5。スコアだけ見れば完敗かもしれませんが、東京ドームの大舞台で堂々と戦い抜き、チームは準優勝という誇れる結果をつかみました。
試合当日の“勝負飯”は、お弁当に入れてもらうビッグカツ。「いつも送迎してくれる家族には“ありがとう”しかないです」と感謝を口にします。
好きな科目は体育、苦手なのは数学の計算。休日はボウリングに出かけるなど、等身大の中学生の顔ものぞかせます。
旭川大雪ボーイズとしての戦いは一区切り。これからは8月30日・31日に群馬県で開催される日本少年野球東日本報知オールスター戦の北海道選抜の一員として全国制覇と完封勝利を狙います。
「高校では甲子園に出て、将来は長く活躍できるプロ野球選手に」。東神楽の澄んだ空気のようにまっすぐな思いを胸に、樽井新太さんの挑戦は続きます。