子育て 《連載》家庭教育シリーズ 第359回

◆子どもの「やる気スイッチ」を探して
上富良野東中小学校長 輕部 恭子

「♪やる気スイッチ君のはどこにあるんだろう?見つけてあげるよ君だけのやる気スイッチ」10年ほど前、テレビで流れていたあるCMの歌が、今でも記憶に残っています。リズムのよさもありましたが、何より「子どものやる気を出させたい」という子育てに悩む親の心に響く内容でした。
私自身は、子どもの頃、「これを買ってあげるから」と言われ、モノにつられてやる気を出すことが多くありました。でもそれは、自分から進んで取り組んだわけではありませんでした。振り返ると、自分からやる気になったのは、手芸やお菓子作りをしていた時です。
小学生の頃、母が読んでいた手芸や料理の雑誌を見て、「この人形を作ってみたい」「このお菓子を作ってみたい」とよくせがんだものです。母は私の気持ちを大切にし、手を出さずに見守ってくれました。材料が手に入らないことがほとんどで、身の回りのものを使う工夫も必要でした。古くなったTシャツや母の服を切って人形の材料にしたこともあります。思いどおりにいかないこともありましたが、自分で考え工夫して作る時間がとても楽しかったことを覚えています。こうした体験から、やる気スイッチは「自分の興味や関心」から生まれるのだと実感しました。
今の子どもたちにも、好きなことに出会い、自分の力で工夫しながら取り組んでほしいと思います。そして、私たち大人や地域の人たちは、そっと背中を押しながら、子どもたちの「やってみたい」を応援していけたらと思います。